公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

メロンとスイカと男と女

先日、メロンを一玉もらったので半分に割ってスプーンで掬って食べていた。
一人暮らしを初めてから自宅でメロンを食べる機会がなかったのだが、やっぱりメロンはおいしい。
種が中心に固まっているので除去するのが簡単で手間がかからない。
無秩序になすがまま、体中に種を散らしているスイカはメロンを見習うべきだ。


食べるのがめんどうな果物が好きではない。
味が嫌いとかではなく、食べるために費やした苦労に対するリターンが確実に見合ってない。
先ほど挙げたスイカのように、食べながら口の中で種を分離させる、もしくは食べる前にたくさんの種を取り除くのがとにかくダルい。
そんな手間暇をかけてまで食べるほどの魅力がやつらにあるとは到底思えないのだ。
さくらんぼやブドウなどは種が一粒しかないが、面倒なことに変わりはないので食べない。
りんごや梨の皮を剥く手間はOKとするし、何なら皮ごと食えるしおいしいので彼らは優秀である。
ちなみにこのめんどくさい気持ちは果物以外には適用されない。
カニも食べるのが大概めんどうだけど、おいしいとかの気持ちを差し引いても食べようという気になる。


また、焼き肉とか網焼きとか、自分たちで焼いて食べるスタイルの飲食店も好きではない。
なぜかと言うと、油が飛んでテーブルが汚くなるし、熱気によって酒がぬるくなるのだ。
チェーン店やそこそこ大きな焼き肉屋であれば、テーブル上のスペースは潤沢に使えるので、油跳ねやぬるくなる酒を気にしなくて済む。
しかし、昔ながらの街の焼き肉屋や、近年増えてきているカウンターに焼く設備が据え付けられているところは相性が悪い。
焼くスペースは確実に取られるわけだから、テーブルの自由に使えるスペースは限られてくる。
自分たちの食べるスペースを確保しつつ、頼んだ注文を置きつつ、空いた皿を捌きつつ、油跳ねと酒の温度に気を配らねばならない。
そんなこと気にせずに食を楽しめばいいのかもしれないが、そんなことに気になって食が楽しめないのだ。
テーブルの上に置いたスマホに油が跳ねまくっていても気にしない人は、一体どういう神経をしているのだろうか。


"食べるために費やした苦労に対するリターン"と先ほど述べたが、それは男と女の関係にも当てはめることができる。
ぼくは、セックスにもコストパフォーマンスが重要だと思っていて、10年くらい前のとある体験から見出した説だ。
その説をここで発表しようと思って喜々として文章にしたのだが、冷静になって読み返してみると全く面白くなかった。
当たり前のことを心理のように述べており、10年前の自分が思いついたこととは言え、未熟さが溢れかえっている。
ただまあ、コストパフォーマンスの高いセックスというのは確実に存在するので、説を覆すことはない。
いちいち金のことを持ち出すのは無粋ではあるけれど、どちらかと言えば男女関係において様々な支払いをすることの多い男性からすると、コストパフォーマンスについて考えたくもなるのだ。