公共の秘密基地

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池袋ウエストゲートパークの思い出 2話目

mezashiquick.hatenablog.jp


1. 原作とドラマの違い

ドラマ版を見てから数年後、池袋ウエストゲートパークには原作があることを何かのきっかけで思い出し、早速読んでみることにした。
原作はキャラクターの性格が随分違い、ドラマは思い切った改変をしたものだなと思った。
マコトは粗野だがクレバーかつお人好しで、作中のある事件をきっかけに読書とクラシックを嗜むようになる。(ドラマでもクラシックのCDを買ってきて聞くシーンがあるが。)
タカシには飄々としたところはなく、『氷のよう』と表現されるほどクールで冷酷なキャラクターだ。
マコトのかーちゃんとか、その他人物の設定や性格も異なっており、ネット全盛の今だったら叩かれていたかもしれない。
ぼくも見る順番が違ったり、もう少し年齢を重ねてからドラマを見ていたら違和感を持っていたかもしれないので、その点ではドラマも原作も出会うタイミングは完璧だった。


原作は文章がリズミカルかつ軽妙でスラスラ入ってくるし、登場人物の姿を脳内で想像しながら読めるほど、人物描写が丁寧だ。
アウトローな人物やアングラな世界の住人と言った、自分には全く馴染みのない社会の人間であっても、姿を補完することが比較的容易である。
話は【水の中の目】が好きで、ゲストで登場するキャラクターが魅力的なことと、タイトルの回収が見事なことが気に入っている。(ゲストキャラでは特に"肉屋"が好き)
ある単行本で終わり方が最終回みたいだったので完結したものだと油断していたら、数年後に続編が何事もなく刊行されたので、ぼくの中では第一部と第二部があると勝手に思っている。
ただ、第二部からは急に社会派の様相を呈してきたので、何となく興醒めして読んでいない。
原作は文句なしに面白いので、興味のある人にはぜひおすすめしたい。

2. ドラマのお気に入り回

ドラマは【みかん】【しいたけ】【ゴリラ】【洋七】の回が特に好きで、しいたけの回は電波くんを交えてみんなで楽しそうなのがいい。
みかんの回はかーちゃん(森下愛子)がマコトに「黙れインポ!」と叫ぶシーンがテンポよくて面白いのだが、中学生だったぼくにはインポの意味が分からず、当時は雰囲気で笑っていた。
全てを理解した上で見ると、どれだけ息子のコンプレックスを刺激するかーちゃんなのかと笑ってしまう。
ドラマではお互いに悪態をつきあっているが、洋七の回ではかーちゃんを救うために奮戦するマコトと、何も知らずに能天気に暴れまわってヤクザに平手打ちまでかますかーちゃんの対比が面白い。
コスプレをしたりネズミ講セミナーに潜入したり、存在しない岩渕さんを家まで送ったりと、かーちゃんのためにとにかく動き回るマコトは洋七の回でしか見られない。
「泥棒だっていいじゃねぇかよ!俺の母ちゃんなんだよ!泥棒だろうがヤクザの愛人だろうが、たった1人の俺の母ちゃんなんだよ!!」というマコトの啖呵は、ちょっと年を取った今見るとグッとくるものがある。
(ちなみにかーちゃんは泥棒でもヤクザの愛人でもなく、かーちゃんのことをそう誤解していた相手に対してマコトが言い返しただけである)
洋七の回終盤の「おめぇの顔見てたら仕事したくなったんだよ」と言うマコトと、「気持ちわるー」と言いつつも笑顔なかーちゃんのやりとりがほっこりする。

3. 次回に続く

最終回を見たことある人にしか分からないけど、ぜひ見てほしい動画。
チラッと映る若かりし頃のガッキーもかわいい。


田中 アクターズシアター