公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

アンチ働き方改革

とあるアンケートサイトが【仕事の遅刻や欠勤連絡をメールやLINEでするのはどう思うか】という調査結果を発表していた。
案の定というか、若年層は『賛成』がほとんどだったが、年配層、特に50代からは『反対』が過半数を占めていた。
反対の理由としては『誠意が伝わらない』『メールができる状況なら電話もできるはず』『常識がない』『自分の言葉で説明すべき』という内容が多かった。
会社の就業規則とかを考慮しないのであれば、ぼくも電話以外の手段を用いることには賛成だ。
早朝など、始業時間にどうしても連絡できない場合もあるし、風邪で声も出せないくらいノドがやられる人もいる。
言った言わないの問題も回避できるので、文章として残しておくことは有効だ。
電話だろうと嘘は付けるわけで、電話で伝えることが誠意だとする考えが理解できない。
あいつらの言っている『誠意』とは女性の言う『セクハラ』くらい主観的なものなので、いちいち気にしていたらキリがないが、なんせ数が多いので困ったものである。


何でもかんでも年寄りを『老害』と一括りにして片付けるのも思考停止している気がするが、世の中には合理性の欠片もない無駄なことが多すぎる。
前の会社もそんなところで、未だにファックスを重要視しているような職場だった。
その上、ファックスを送信した後に『ファックスが届いたかどうか』の確認電話をするルールもあり、文明の利器が涙するような非効率極まりない働き方をしていた。
社長からしてアンチITの権化で、『パソコンで行える業務など遊び』『IT事業者はうさんくさい』などと豪語する偏見の塊のような原始人であった。


数年前、某広告代理店で激務を苦にした20代の女性が自殺をした。
残された勤務記録から過重労働が明らかになり、さらに女性のTwitterにはブラックな働き方が生々しく綴られており、当時は大々的に報道されていた。
そこからブラック企業という存在に世間が本格的に目を向けるようになり、働き方改革が叫ばれるようになった。
だが、その広告代理店では以前にもおっさんと呼べるくらいの年齢の男性社員が自殺しているのだ。
そのときもニュースでは報道されたものの、女性が自殺したときほどの盛り上がりもなく、すぐに取り上げられなくなった。
自殺した女性が大学を卒業したばかりの20代だったことや、高学歴だったこと、比較的美人な容姿をしていたことが、報道を加熱させたように思う。(不謹慎な言い方で申し訳ないが。)
ちょっとした問題はあっても何とか生活できているし、そこまで困っているわけではないし、ちょっとめんどくさいし、みんな見て見ぬ振りをして日々を過ごしているのだ。
やらなきゃと思っている夏休みの宿題をギリギリになってから慌てて手をつけるみたいに、何か決定的な出来事が起こらないと世間は変わらない。


コロナをきっかけに『体調悪くても這ってでも来い』から『無理せずに休んでいいよ』的な風潮になると嬉しい。
ジジイがよく言っている、『おれたちの頃は』『苦労は買ってでもしろ』なんて知ったことではない。
平成を通り越して令和になったのだ、昭和の亡霊がいつまでものさばっているのは時代にそぐわない。
今はテレワークやリモートワークで業務に当たっている企業もあると言うが、実態はそういった環境が整備されていないところがほとんどだろう。
書類にハンコを押すためだけに出勤する人もいると聞いた。
世の中の非効率・不条理な働き方が見直され、労働の仕組みが変わってくれると嬉しい。