公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

好きなら理解って

SNSとかネットでは、今日も「男に生理のつらさを分からせよう」と息巻いている人がいる。
正直、過激派に関しては知らんがなと思って冷めた目で見ている。

googirl.jp

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申し訳ないけど、いくら言葉を尽くして語られたところで完全に理解することなどできないのだ。


決して生理について馬鹿にしているわけではない。
体調も個人差が随分あるらしく、ちょっとお腹が痛くなるレベルから、動けないほどしんどいという人までいるらしい。
今まで付き合ってきた女性や周りの女友達には、見たり聞いたりした限りでは重たい症状の人はいなかった。
それは本当に軽症だったのかもしれないし、気を遣って振舞っていたのかもしれない。
何にしても、自分には分からないツラさだからと言って大したことないだろうと決めつける気はないし、生理のしんどさを見せまいと気を遣ってくれているのなら尊敬すべきだ。


だけども、上で紹介した記事のような内容は失笑を禁じ得ない。
まず、男性に生理がない以上、しんどさを身を以て実感することはできないわけだ。
なのに、「内臓をぞうきん絞り」だの「腰にダンベル」だの「ボクサーに下腹部を小刻みに殴られてる」だの、女性自身も体験したことのない痛みで例えるのは滑稽でしかない。
事実を正確に伝えればいいものの、やたらと話を大きくしたがるから逆に伝わりづらいし信憑性もない。
お前、元気なときに腰にダンベルぶら下げて比較したしたことあんの?
貧血の状態でボクサーに腹殴られたことあんの?
あるんだったらすまん。
こいつはボクシングでボディブローを喰らっている選手を見て、「わー、生理と同じくらいしんどそう」って思うのだろうか。馬鹿じゃん。
この中で事実のみを相手にも分かるように伝えているのは四人目の人くらいのものである。
以前ネットで見たことがあるのは、「身体の内側からアメフト選手にタックルされているような痛み」というものだが、こいつは美食会副料理長トミーロッドの如く体内にアメフト選手を飼っているのだろうか。


女性特有の悩みを軽んじられて腹が立つのはよく分かるし、理解できない痛みだからと言って男性側が軽んじるのも間違っている。
とはいえ馬鹿にされたんならともかく、女性全員が生理に対する理解を深めてほしいと思っているわけでもないだろう。
放っておいてほしいと思ってる人、しんどいってことがふわっと分かってもらえればいい人、生理周期までバッチリ把握しておいてほしい人、様々だと思う。
生理の理解を深めてほしい派の意見だけでなく、そうでもない派の意見もほしいところだ。
まあおそらくこのwebサイトの目的は男性への啓発を促すものではなく、女性の内々で愚痴を言い合って共感し合うためだけのものだろうけど。


あと、記事タイトルで「生理痛なめんなよ…?」って暗黒微笑ばりの凄みを見せてるけど、別になめてはなくない?
どうしてパートナーに生理のことについて説明しているのか、この記事だけでは詳しい前後関係が不明ではある。
だけど一人目や四人目の彼氏は生理痛について自発的に質問してるし、二人目の彼氏に至っては何の前振りもなくダンベルを腰に装着されている。
見た限りでは生理の大変さについて理解はしてないかもしれないが軽んじているわけではないわけだ。
まして、女性側の分かりづらい伝え方にも一応は共感してくれている。
理解して欲しいのなら相手にも分かるように伝えるべきで、自分も未経験の事象で例えるあたり、おそらく真に理解してもらおうとは思っていないだろう。
これらの例えで伝わると思っているんなら本当に頭が悪い。
分かってほしいというよりは、いたわってほしいだけ、大変さを分かってほしいだけなのだと思う。
思いつく限りで男性にできることはおそらくそれくらいしかないので、別にそれは構わんけど。
それに、こうしてしんどさを口に出して言ってくれるだけマシだとも解釈できる。
男性には痛みが想像できない上に、メンタルの乱れや体調不良にタチの悪い女性特有の「察して」が加わると最早手が付けられない。


こういうのを見てると、女性は生理の痛みに耐えて普段からがんばってる強い生物だと思ってほしいのか、弱い生物だから守ってほしいと思っているのか分からん。
やれレディファーストだの割り勘はありえんだの生理のときは労われだの優遇と特権を求める割に、一方では生理でも何食わぬ顔で過ごしてたり、妊娠出産の痛みに耐えられたり、女性って強いんだよ!と言っている。
都合のいいところで強くなったり弱くなったりしている印象しかない。
いや分かるよ、女性に配慮を求める層と、女性は強いんだと主張する層が決して同じではないということは。
でもさ、殊更に自分の属性の優位性をアピールされると、冷めた目で見たり突っ込みたくなる気持ちもあるのよね。


余談になるが、この記事を書いたライターの他の記事を読んでみた。
生理の話と同じように「妊婦なめてるだろ…」というタイトルで旦那が出産の壮絶さを知った体験談まとめがあった。
女性の苦労について共感してほしい類のライターなのかと思えば、「ブサイクだっていいじゃん!」という表題でタイプではなかった男性のことを好きになった女性の体験談をまとめてもいる。
女尊男卑バリバリの思想を持っているとかのバックボーンがあるわけではなく、特に何も考えずに食いつきのいいワードを使っただけの人だと思われる。
もっと言えば、「女性は上から目線で傲慢な物言いをしても問題ない」と無意識で思っているタイプの人だろう。
例えば、性別逆にして「ブスな彼女でも幸せです!」なんて記事を公開しようものならどうなることか。
天に向かって吐いた唾がいつかこの人にも戻ってくるときがくるのだ。


各々が自分の生活の中でやることをやって一生懸命暮らしてて、ときには愚痴を言いたくなったり折れたりしそうなときがある。
だけど自分と同じようにみんな大変だしなとかみんながんばってるしなって思って自分を奮い立たせたり、愚痴を言うのを我慢したり爆発しない程度にちょろちょろ発散したりするものだ。
病むまで耐えることが美徳だとは言わんけど、しんどいことがあるたびに大げさに叫び散らかす人もそれはそれで付き合いづらい。
いちいちこんなアンケートサイトに体験談を投稿してる人って、とにかく自分優先の思考っぽい印象を受ける。
ライターが体験談を捏造して適当に書いた可能性も高いので、まずは生理痛の体験談を投稿した女性を屏風から出してもらいたいものだ。