公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

それと You wanna be my Friend?

ボーカリストであるAdoちゃんについてこのブログで2回ほど書いたことがある。
一度目は、うっせえわってなんか痛い歌だなあという内容。
二度目は、アルバムが出たしサブスクで聞いてみたけど結構良かったという内容。
結局その後Adoちゃんのアルバムは購入して聞いているのだが、歌詞カードに書いてあったスペシャルサンクスがシンプルでよかった。
「家族」とか「全てのボカロP」が挙げられており、そのシンプルさを見て思い出したことがある。
ぼくの友人が高校生の頃CDを出し、地元のCD屋に並んでいたことがある。
もらったか買ったか忘れたけど実物を所有していたのだが、彼女のスペシャルサンクスは家族から友人から彼氏からずらっと列挙されており、歌詞カードの1ページの半分以上を占めていた。
ここまで列挙してあったらもはやスペシャル(特別)ではないし、「友人一同」とかにしといたほうが角が立たなくていいのになあと思ったのだが高校生女子の人間関係はそう単純ではなかったのだろう。
スペシャルサンクスとして名前を挙げられることが「女の輪」を保つための手段であって、わざわざ名前を載せたという事実が重要なのだ。


そんなAdoちゃんが今夏公開されるONE PIECEの新作映画に出演するらしい。
映画のキーパーソンである歌姫の歌唱パートと、主題歌を担当するとのこと。(日常パートは声優がやる)
市場規模が大きくて話題性があるから仕方ないけど、ONE PIECEの映画はとにかく芸能人を使いたがるので嫌なのだが、歌パートのみの担当というのなら理に適っている。

game.watch.impress.co.jp

今までワンピ映画(尾田先生監修版)に出演した芸能人でよかったのは、一作目と三作目の竹中直人と、四作目のユースケ・サンタマリアくらいのものだった。
しょうもないアイドルやフジテレビのアナウンサーを起用するの本当にやめてほしい。


ONE PIECEはここにきて今まで伏せられていた事実が明らかになる展開が多く、「伏線の回収がすごい」という意見をよく見る。
いかに伏線回収がすごいかが漫画の面白さの指標になってる気がするし、ONE PIECEに限ったことではないのだが、伏線だと言われている場面のほとんどが「設定を回収しているだけ」なのだ。
ONE PIECEの空島編で説明してみよう。
ルフィたちが空島に行く前、猿山連合軍とサルベージ船を巡ってわちゃわちゃしているときのこと。
海域に夜が来て空に巨人の影が現れる展開があった。
夜が来るのは上空に空島が来て日の光が遮られているからで、巨人は空にいる人の影が映っていたことが空島編クライマックスで明らかになる。
空に大写しになったルフィの影と、黄金の鐘の音と共にクリケットさんが解説をする展開は屈指の名場面でぼくも大好きなシーンなのだが、あれを「伏線回収」と言っているのをたまに見かける。
他にも、ゾウ編で登場したズニーシャの正体や光月家の謎なんかも「伏線らしき重要そうな内容」と言っているアニメ・漫画系のwebサイトを見たことがある。


当時は何の意味もないと思っていたけど、後になって実はそうだったのかと気が付くものこそが伏線だと思う。
空島の件もズニーシャや光月家のことも後から作者が描こう・回収しようと思っている「ストーリー」「設定」であって伏線とは違う。
いかにも怪しい人物の正体や、詳細が明かされていない事柄なんかは後から説明があることが決まっている。
正体を考察して答え合わせに一喜一憂するのならともかく、正体が語られること自体は尾田先生だけでなくどの漫画家もやっていることだ。
「謎を明かす」という単純なことがこれだけ盛り上がるのは見せ方がうまく、発想力や構成の凄さに驚愕している人が多いということだろう。
例えばルフィが子供の時点で海賊として名を挙げていたシャンクスが最弱の海である西の海にいた理由が、世界政府からゴムゴムの実を奪うためだったというのは伏線として成り立つと思う。
ONE PIECEは100巻を超える超長期連載であり、忘れていた頃に明かされる事実も珍しくないわけで、それを「数年越しの伏線回収!」と間違った持ち上げ方をするのには疑問を呈したい。


ちなみに、冒頭で話したCDの子は数年後の成人式の日、思わぬ再会をすることとなる。
成人式後の集まりまで時間を潰そうと小中の同級生と喫茶店に入ったとき、奥の席で彼女とその父親と思われる人と、彼女が高校当時付き合っていた彼氏(成人式時点では別れていた)と三人で何やら深刻そうな話をしていたのだ。
彼氏はこちらに背を向けていたので表情は見えなかったのだが、向かいに座っている彼女は俯いて浮かない顔をしていたし、彼女の隣に座っている父親は明らかにキレていた。
本人に聞くにも聞けず今に至るのだが、あれは一体何だったんだろうか。
当時もまだ付き合っていれば筋の通らんことでもあったのかと思うが、高校のときに付き合っていた彼氏を父親同席で引っ張り出してきて今更何の用があるのだろう。
彼は高校生にして彼女に暴力を振るうDVサラブレッドであったのでそのことを蒸し返されたか、成人式の前に再会して盛り上がってしまって生セックスからの妊娠コンボでも決めたのか不明だが、父親が出てくるなんてよっぽどのことがあったと思われる。
彼らが喫茶店で何をしていたのかと事実が明かされることも単に「事実の開示」であって「伏線回収」とは違うのだ。