公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

【追記あり】4月に読んだ小説と漫画

先月に続き、4月は漫画と小説をいくつか読んだので紹介していく。
多くの人に薦めたいので、がんばってネタバレなしで魅力を伝えていきたい。


読んだもののうち上ふたつが小説で、あとは漫画。
特筆がない限り、電子ではなくて現物で購入している。

邂逅の森

他人の人生を追体験し、自分になかった価値観を知ることができるのが物語の良さだと思う。
映像作品とは違い、文章のみで書かれた小説は己の想像力が重要になってくるのだが、こと情景が頭に浮かんでくるという点においては抜群の作品だった。
他に例が思い浮かばないけど、どうも『狩人』って属性は強烈な個性を持ったキャラクターになることが多い気がする。
その一因が、この作品でも描かれている彼ら特有の習慣や風習に由来するのだなと思った。
また、この物語に登場する『マタギ』『阿仁』『村田銃』などの用語で、ゴールデンカムイの『少女団のお荷物』こと谷垣源次郎が頭に浮かんで仕方なかった。
そのため、主人公の松橋富治は性格こそ異なるものの、見た目は完全に谷垣で想像していた。
時代的にもゴールデンカムイのちょい後だと思う。
マタギたちの間では山の神様は女性で、ブスで嫉妬深い割にはドスケベという風習があるらしい。

まっぷたつの子爵

ぼくの好きなガンダムOVA作品(ポケ戦)の監督さんが、物語のラストはこの作品を意識したと聞いたので読んでみた。
海外文学は翻訳の具合で物語への没入度が変わってくるのだが、正直この本の翻訳は自分には合わなかった。
翻訳が合わないときは古い年代に訳されたものがほとんどなのだが、2020年に翻訳されたものだということなのでやっぱり合わないのだろう。
タイトル通り、戦争に行った子爵は砲弾で身体を真っ二つにされるんだけどそれでも生きて故郷へ戻って来る。
ところが片方だけの子爵は、以前と違って邪悪な面が目立つようになったというお話。
子爵は真っ二つになってからのほうが生き生きとしていて、ばいきんまんの如く悪いことをして領民にかまってもらいたがっていた。
「人間は不完全なほうが相手の気持ちを理解することができる」という台詞が作中にあるのだけど、自分のことができてないやつほど他人の世話を焼きたがるやつだろう。
正直、レビューするほど何かを読み取れたわけではないので書くことがそんなにないけど、ポケ戦ラストのモチーフにしたというくだりは何となく分かった気がする。
ちなみに子爵の見た目はジャイアントロボの素晴らしきヒィッツカラルドで補完していた。

王様ランキング 13

第二部が始まった本作。
アニメは途中までしか見てないけど、結構出来がよかった。
ボッジとカゲには和気あいあいと旅をしててほしいので、これからの展開に期待ができそう。
ボッジの髪型は初期の頃のペタッとしたやつのほうが好き。

ONE PIECE 102

追記したのはこれ。
肝心なものをど忘れしていて情けない。
かつてはにわかオタクが好む作品の代名詞とされたONE PIECEであるけれど、今や102巻持ってる人もそう多くはないのでは。
恋ワンピの作者みたいに長い年月をかけて醸造されたやばいやつも出てきたし。
数年前からずっと感じてたんだけど、ゾロって新世界に突入してから本気出してなかったと思う。
ピーカは周囲と協力して倒しただけでダメージを受けた描写はなかったし。
余力を残して戦ってるイメージがあった中、今回のキング戦は久々の格上との闘いで燃えた。
錦えもんがパンクハザードでローに身体を切断された話題が出てきたけど、そんなことあったなあと思って調べてみたらパンクハザード上陸が2012年(単行本発売日)だった。

ゴールデンカムイ 1~29(既刊)

何度か書いているが、ゴールデンウィークに備えて既刊を全て新品で買った。
29巻発売日当日に本屋に行ったら、帯にとんでもないことが書いてあってびっくりした。
今やオタクの仮想敵となっている実写化であるが、どうなることやら。
今回単行本を初めて買ってみて、聞いてた通り加筆が多いなと思った。
29巻あたりからバリバリ加筆すると聞いているので楽しみ。
将来忘れっぽくなったとき、これは無料公開を機に作者の心意気に共感したから全巻揃えたんであって、実写映画化するから買ったわけではないとハッキリ覚えておきたい。

寄生獣 1~10(完結)

ブックオフに並んでる漫画といえばで三番目くらいに思いつくこちら。
ちなみに一番目は『殺し屋1』だけど読んだことはある。
寄生獣は絶賛する人が多い作品であり、天邪鬼な自分としてはじゃあ読まないでおくかとずっと避けていた。
ミギーのことは知っていたので、ARMSみたいなバリバリのバトル漫画かと思ってたら違った。
寄生生物は確かに強いんだけど人間に殺せないことはないし(一部を除く)、彼ら自身を増やすことはできない。
途中からこれ、絶滅エンドとか無理じゃね?と思っていたので、結末やパワーバランスが最高に好みだった。
序盤で出てきた犬のやつは努力の方向が間違ってるのに妙に自信満々だったので、現実でもそういうやつを見かけたときのいい例えができた。
ゴールデンカムイしかり、この作品しかり、タイトル回収が見事な作品は大好き。

銃座のウルナ 1~7(完結)

とあるところで見かけたので購入してみたものの、とにかく本屋にもネットにも売っていないので手に入れるのに苦労した。
中古ならすんなり手に入るが、なんとなく新品で欲しかったのだ。
単行本の装丁がとにかく凝っていて美しいが、下手に表紙をめくってカバー下を見るとネタバレを喰らうので要注意。
志願兵のウルナが蛮族との紛争地帯になっている島に派兵され…から始まる物語。
とにかくスルメ漫画で、何度も読み返したくなる。
昔、雨上がり決死隊のホトちゃんが「趣味が違うほうが夫婦はうまくいく」というようなことを言っていた。
愛し合っている者同士であっても同じものを好きになる必要はないし、ましてや同じものを憎む必要はない。
戦地から身体だけでなく心も戻って来るためには、愛する故郷や大切な人たちとの交流が不可欠なんだろう。
例えば自分の恋人が戦争に行ってたとして、恋人が日常に戻るための存在に自分がなりたいって思うじゃん。
っていう気持ちでもう一回読みたい。
あと、靴の描写が丁寧だったり、「国の経済が逼迫していると靴が短くなる(革を調達する余裕がないから)」というセリフがあったりするあたり、作者さんの靴へのこだわりが半端ないと思った。
こういう面白いけど知られていない漫画を連載当初から見つけてくる人って、どういうアンテナを張ってるんだろうか。


先月の漫画レビュー(ネタバレあり)
mezashiquick.hatenablog.jp


面白かった小説(ネタバレなし)
mezashiquick.hatenablog.jp