公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

そういう人たちの撮る写真

『飲食店の店内で無遠慮に内観写真を撮るやつはバカ』というスタンスで生きている。
その空間はお前ひとりのものではないのに、店に許諾も得ずに勝手に写真を撮っていいとどうして思うのだろうか。
みんながやっているから感覚がマヒしているのだろうか。
とはいえ、猫も杓子もSNSのこのご時世、こんなことに目くじらを立ててもしょうがないなあと思っていた。
ところが最近、『あいつらはやっぱりバカ』と考えを新たにした。
以下にそれを書いていく。


最近行ったコーヒー屋さんには、【店内撮影は禁止】という張り紙がしてあった。
席に案内してくれた店員さんにも重ねてお願いをされた。
ぼくは写真を撮らないので何も問題はない。
よっぽど店の世界観を守りたいのかなとコンセプトに共感しつつ、ゆったりとした時間を過ごさせてもらった。
その後、今度はパン屋さんに行ったときのこと。
そのお店には以前にも伺ったことがあり、おいしかったのでリピートしたのだ。
お店のドアには、以前にはなかった【店内の写真撮影は禁止】の旨を告げる張り紙がしてあったのである。
最初から写真撮影禁止の店は見かけたことがあるが、途中から方針を転換するところもあるんだなくらいに思っていた。
人気のパン屋さんのためかなりの人が並んでおり、加えてコンパクトなお店なので店内は一組までの入店制限がかかっている。
なるほどこれかと、写真撮影を禁止した理由のひとつはこれに違いないと天啓を得た。


コロナ禍のご時世、入店制限をしている店舗は珍しくない。
飲食店は座席を減らして密にならないよう運営をしているし、テイクアウトが主体の店であっても店内に多くのお客さんを入れないようにしている。
お店の本音としては、パッと買って(食べて)サッと出てほしいのが本音だろう。
ところがアホは後ろに人が並んでいるのにも関わらず、ぱしゃぱしゃ写真を撮って、撮り終わってからようやく注文を決めて、ちんたら出ていく。
待たされたんだからそのぶん自分も後ろを待たせようと思っているのか、アホだから入店した瞬間に並んでいる人のことを忘れるのかは分からない。
入店制限があるのだから、少しでも回転率を上げることに協力しようとは思わないのだろうか。
あと、パン屋さんやケーキ屋さんのような持ち帰りの業態で、店内で写真を撮られるのは単純に邪魔なのだ。
お前が商品を選ぶのは邪魔しないから、こちらの邪魔もしないでほしい。


で、写真を撮らないでというお願いに対して次にアホは何と言うか。
「ちょっとくらいいいじゃないか」と言うだろう。
店内の写真を撮る人間が、世界中にお前だけだとしたらその言い分も成り立つだろう。
ところが、お前と同じ考えを持ったアホはお前ひとりではないのだ。
ひとりだけならわずかな時間であっても、たくさんのアホが写真を撮ればそれは大きなロスとなる。
例外を認めてしまえばアホは増長するので、一律に禁止するしかないのだ。


また、冒頭でも述べた通り、店側に許可も得ずに内観写真を撮ることを問題ないと思っていることが恐ろしい。
店内はお前ひとりの空間ではないのだ。
こちらが払うお金はあくまで品物の対価であって、店の空間はみんなのものだ。
(なので料理の写真を撮るのはいいと思う。自分の手元のみは写真撮影可としている店もある。)
写真を撮っていいか聞くのがマナーだと思うのだが、実践している人はわずかしか見たことがない。
店舗って公共施設じゃなくて私有地なので、言ってみれば人の家の庭に入って勝手に写真を撮るようなものだ。
自分がどれだけ非常識なことをしているか分かるだろう。


いろんなグルメブログを見ていると、比較的高齢と思われるブロガーに限って映り込んだ他人の顔を隠していない。
ネットリテラシーの低い年寄りはネットに顔を晒すことのリスクを認識していない。
若い子は自分の顔をネットに上げることに抵抗がなさそうだが、それでも映り込んだ他人にはモザイクをかけている場合が多いのだ。
お店によっては、【店内写真を撮影する際は他のお客様が映らないように】という注意書きがあるところもある。
顔を載せるリスク云々はさておいても、背景であったとしても他人の写真に紛れたくない人はいると思う。
デリカシーがないというか、他人の顔が入ることに無頓着なバカはいるのだ。


その写真も大したことに使わないじゃん。
見返すこともなく、せいぜいがSNSに上げてわずかばかりのいいねをもらうくらいじゃん。
周囲に迷惑をかけてまでお前は承認欲求を満たしたいのか。
というかたぶん、自分の行動が迷惑だと自覚していないんだと思う。
写真を撮るやつが嫌いなわけでも、SNSが嫌いなわけでもない、バカが嫌いなのだ。
当初は写真撮影禁止でなかった件のパン屋さんが後に方針転換をしたあたり、よっぽどめんどくさいことがあったのだろう。
心中お察しします。
一見すると厄介そうな飲食店だと思う人もいるかもしれないが、そういうお店はどんどん応援していきたい。