公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

お前とお前の子供と

こないだ、携帯電話のショートメールに来る身に覚えのないメッセージには反応しないようにというニュースを見た。

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「宛先不明のため荷物を持ち帰りました」なんて嘘メールは割と昔からあったと思うが、最近はコロナ禍での巣ごもりから通販需要が急増しているため、比例して詐欺の被害も増えているらしい。
冷静に考えればショートメールで連絡が来るのはおかしいのだが、そもそもこういう詐欺メールは引っかかる人だけ騙せればいいのでメールの文面に違和感を覚える人は最初から対象にしていないだろう。
ぼくもたまにショートメールにサイトの料金未納案内だのが来ており、しょうもないなあと思いながら無視している。
あの人らは自分の仕事が社会に必要とされていないどころか、憎まれていることについてどう思っているのだろうか。
そもそも、このご時世にショートメールなんて滅多に使わないので見ることもほとんどない。
先日もスマホを見るとショートメールの受信通知が来ていたので、一応内容を確認してみた。
身に覚えのない電話番号からのメッセージで「来週は海に行きます!楽しみです!」という内容のメールである。
知らんがなと思って削除しようとしたのだがハッと我に返った。
これは友人の子供(小三)からのメッセージだ。


先日結婚10周年を迎えた友人夫婦には、子供が三人いる。
メッセージを送ってきたのはそのうちの長男だ。
こんな言い方をすると誤解されるかもしれないが、彼がお母さんのお腹の中にいるときから知っている。
1~2ヵ月に一度くらいのペースでご自宅にお邪魔しているが、今年の年明けに訪問させてもらった後に緊急事態宣言やら何やらがあったので伺うのを自粛していた。
7月に久しぶりに伺ったのだが、以前には持っていなかったキッズケータイを長男が所有しており、ウキウキでぼくに電話番号を求めてきたので連絡先を交換したのである。
目の前にぼくがいるにも関わらず早速彼からのメッセージが届き、何色が好きかとか家から何が見えるとかとりとめのない内容が送られてくるので、全てうんこちんこで返信したら爆笑していた。
男子はこうなったら一生うんことちんこで笑うようになるのでどうしようもない。


先日はぼくの誕生日だったのだが、彼はそれを覚えていたらしくわざわざお手製のバースデーカードとお菓子の詰め合わせをプレゼントしてくれた。
思えば彼は節目節目にお手紙とかをくれるので、筆まめなやつなのかもしれない。
後で聞いたが、お菓子は自分の取り分から捻出したもので、バースデーカードに使った画用紙もひとりでお店に行って自分のお小遣いで購入したものだそうだ。
昔は大皿に盛られた唐揚げを食べきれないほど自分のお皿に取り、自分のお菓子を弟に渡すまいと喧嘩していたあいつである。
みんなでお茶をしているときも、お小遣いで買ったというおやつカルパスを分けてくれた。
いつの間にか自分のお菓子を人に分け与えるような人間になったのかと彼の成長を実感し、友人たちの育て方に感心し、人生であまり味わったことのない何とも言えない感情になったのである。


ぼくはこれと言って子供が好きというわけでもないし、特に興味もない。
子供だから好きというよりはそいつだから好きというだけで、子供であれば無条件で愛するという精神ではない。
ただ、世間的には子供のことが好きでないと驚かれて冷血漢のような扱いを受ける。
妊婦さんや子連れが困っていれば手を貸すし、誰も見てないところで他人の子供をバンバン蹴ってるわけでもない。
嫌いではなくて特別好きではないだけなのだ。
お前の子供が特別だと思ってるのはお前だけなので、他人にまで特別扱いを求めないでほしい。
人としてするべき配慮はして自分の美意識に従って行動しているだけなのだ。


お宅訪問から帰宅した後は友人にお礼のラインをするのだが、その日から長男にもショートメールをすることにした。
「プレゼントありがとう。これからも優しくて愉快な○○でいてね。また遊びに行きます。」と送ったところ、「やさしくします!楽しみです!!」という若さ丸出しの返信がきた。
あまり意味のないメールをするなと友人から言われているらしく、それから特に音沙汰はなかったので冒頭で紹介した海に行く報告メールが久しぶりの連絡であった。
ちなみにその後、海に行った彼からは「かにを2ひき捕まえました!貝と貝殻も3個捕まえました!」というご丁寧に数まで添えた報告メールが届いた。
「なわとび117回とべました!!」などという近況報告メールもたまに来る。(その後170回飛べたらしい)
さすがに返信をうんこちんこで済ませるのは彼をひとりの人間として見ていない気がするので、これからはほどほどにしようと思う。