公共の秘密基地

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営業に告ぐ その2

以前、事務所にかかってくる営業の電話や、自宅にやってくる訪問営業がうっとうしいという話をした。

mezashiquick.hatenablog.jp

ぼくは仕事中、基本的に事務所にいて外出することはあまりないため、少なくとも業務時間内に関しての営業の電話は気分転換になると言えばなる。
ネタみたいな電話はこうしてブログに書くこともできるし。


以前に書いた記事では電話・訪問等の営業マナーがクソだという話をした。
こちらが喋っているのに被せるように話してくる、丁重にお断りしているのに機嫌が悪くなるなど、ぼくがパワハラ上司じゃなくても「お前この仕事向いてないよ」と言いたくなるような営業ばかりだ。
世の中には海千山千の営業ハウツー本があり、いかに顧客の心を掴むかというノウハウが語られているが、【相手の会話を遮らない】【お客さんに断られても機嫌悪くならない】ということを最初に書いておいてほしい。
人間には良いやつ悪いやつがいるのだから、営業にも良い営業と悪い営業がいるのは当たり前なのだけど。
最近は態度の悪い営業電話が事務所にかかってくることも、コロナの影響からか光回線の訪問営業が自宅に来ることも減った。
それに代わるようにして登場した最近の営業手法は「知ってる風を装う」というやつだ。


先日かかってきたどっかの会社の営業電話は、開口一番に「先日はお世話になりました」と述べてきた。
業務においても個人的にもそこと付き合いはないし、そもそも何をしている会社なのか知らない。
では一緒に働いている友人のお客さんかと思ったがそれも違うだろう。
なぜなら、事務所で働いているのはぼくと友人しかおらず、お互いの予定はカレンダーアプリで把握しているため彼がそうした人と会っていれば分かるのだ。
普段からコミュニケーションも取っているため、そうした付き合いがあれば聞いていただろう。
適当なことを言って電話を切ったあと友人に確認してみたのだが、確かにその会社のエリア担当から事務所宛に挨拶状みたいなのは来ていたらしい。
だがその担当とは面識もなく会話もしたことがないようで、そう考えると前口上の「先日はお世話になりました」というのは不適切だろう。
だからこういうのも手口なんだろうなあと思う。
面識があるかのような適当なことを言っといて、目当ての人間に繋いでもらうことを期待した電話なのだ。


また、とある別会社からの営業電話は社名がいまいち聞き取りづらかった。
妙にこなれた感じで社名を言うやつはいるので、最初は電話してきた担当の癖かなと思っていた。
しかし、後日同じ会社の別の担当からかかってきた電話でも同様に社名を聞き取れなかったのである。
どいつも早口でごにょごにょした感じで社名を言うので、これもひとつの手口なのだろう。
自分は知らないけどたぶんそいつの知り合いなのだろうと思わせて電話を取り次がせるのだ。
やつらの手口に気づいてからは社名を聞き返してやろうと身構えているのだが、あれから一向に電話がないのが残念である。


知ってる風を装う以外で悪質なのは「グレーな範囲で要件を偽装する」パターンだ。
最近、インターネット回線光コラボ系の会社から、フレッツ光を利用している顧客向けに電話料金を無料にするという電話がかかってくる。
しかし、やつらは要件を伝えるときに「ご請求の件で話があるので、代表者か担当者に代わってほしい」と言ってくるのだ。
「ご請求の件」なんて言い方をされると、料金が引き落とされてなかったとか値上げのお知らせとかの契約周りの要件で、代表や担当に繋がないとならない雰囲気である。
が、実際は上で述べた電話料金無料の話であって、確かに「ご請求の件」ではあるのだけど釈然としない。
代理店からの電話は多いらしく、所管のNTTから注意喚起の電話がかかってきたほどだ。
NTTは簡単な住所と入っているビルの名前をわざわざ名乗り、うちは代理店ではなく本家本元のNTTですよということを強調したいように見えた。
注意喚起の内容は、うちの所管で光コラボ系代理店からの電話が増えており、勧められるままに切り替えをして今まで通りに使えなくなったという問い合わせが増えているということである。
で、回線を切り替えてしまうとうちでは対応ができかねるので、よく考えてから見直しをしてほしいとも言っていた。
代理店は事業者だけでなく、個人にも電話をしているのだろう。
わざわざこんな電話をしてくるなんて、よっぽど問い合わせが多かったと思われる。


ぼくは電話対応というやつがとにかく嫌いだ。
あれには社会の理不尽さがこれでもかと詰め込まれていると思う。
新卒入社なり転職なりで、その会社で初めて働くことになったとする。
どこの会社でもというか、社会人としては電話の相手に所属と名前と要件を告げるのが常識だしスムーズだと思う。
だけど、その事業所の責任者なり会社の社長なりの知り合いや出入りしている業者の場合は、自分が顔パスの人間だという傲慢な意識でいるため、苗字しか名乗らないことが多い。
名乗りもこなれた感じで流し気味に言うので聞き取りづらく、聞き返す羽目になり効率が悪い。
また、聞き返されたほうも「おれのこと知らんの?」的な空気を出すのだが、狭い世界でしか通じない名前に固執するしょうもないやつのことなんか一生覚える気はない。
新卒で勤めていた会社は、事業所の責任者の知り合いとおぼしき人からしょっちゅう電話がかかってきていたため、上記のような思いをすることもしばしばだった。
しかも責任者の気分で電話を取り次いだり取り次がなかったりするため、名指しの電話だったからと言って全て回せばいいというものでもないのだ。


前職も似たような会社で、社長が出先からこちらの部署に電話をかけてくることが多かった。
しかも名前も名乗らずに要件のある人間に代わるよう求めるので、声で社長と判断して受け答えをするしかないという理不尽さだ。
社長の声で判断し、名前を尋ねずにスムーズに取り次ぐべきというのは初日に教えてもらったのだが、そんな無意味な緊張感を社員に強いて何になるというのか。
ちなみに社長と気が付かずに名前を聞くと不機嫌になるらしい、本物のバカである。


電話応対が初めての新卒は、研修で相手の要件と名前を聞くようにと教えられるのだ。
うっかり名前だけを聞いて要件を聞き漏らした電話を取り次いでしまい、「要件は必ず聞いといて」と不機嫌そうな顔で言われたこともある。
まして社会の理不尽さにも慣れ切っていない、打たれ弱い新卒の話である。
こちらはそれに従って業務をこなしているのに、いちいち例外を設けるなんて非効率なことで脳みそのリソースを使わせないでほしい。


www.j-cast.com

「電話がかかってきたらフルネームを確認しなさい。でも、それが社内のエライ人の場合はフルネームを確認してはいけません。うまく察して対処しなさい」
ということですね。でも、そういうのをダブルスタンダードというのではありませんか。

紹介した記事にもこう書かれているが、まさにその通りである。
何でもかんでも「察して」対応することを求めるなんて、アホ経営者にしても旦那の悪口を言っている嫁にしても、しょうもないやつは一体何を察してほしいのだろうか。