公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

握手券 買うとCD ついてくる

AKB一味がCD付き握手券でオリコンチャートを焼け野原にして数年後。
ここにきて邦楽業界は復活の兆しを見せつつある気がするやらしないやらという感じだ。
個人的にも先日、東京事変のアルバムが発売されたので嬉しい。
まあ、AKB商法の前から邦楽の売り上げは怪しかったのかもしれないが、いちいち調べるのもめんどくさい。
「昔のほうがよかった」なんてセリフはともすれば懐古主義の年寄りみたいで嫌われるのかもしれないが、昔を懐かしむのは自由である。
よろしくないのは、昔の価値観しか認めずに今を受け入れようとせず、さらには今を否定するような言動だ。
今の時代に生きている人からすれば、自分たちが楽しく接している文化を頭ごなしに否定されていい気はしないだろう。


www.4gamer.net

ドラクエ最新作の制作が発表された。
ぼくのドラクエはⅥで止まっていて、しかもⅥだけリメイク版をプレイしていないので記憶が曖昧だ。
そしてはぐれメタルは一度も仲間にしたことがない。
日本を代表するRPGと言えばドラクエとFFである。
すっかりゲームをプレイしなくなったので、最近の両者は売り上げがどれほどのもので、ゲームシステムがどうなっていて、ユーザーの反応がどんなものかなど、今は全く知らない。
知らないが、両者ともにナンバリングタイトルがこれだけ続いていて、外伝的な作品やスピンオフも制作されているのだから、ファンがいて好評なのだと思う。
ちなみにFFはⅣ~Ⅵ、Ⅶ・Ⅸしかやっていないし、ファイファンと略す人とは仲良くなれないと思っている。


歴史の長いコンテンツになると、年齢や性別・趣味嗜好が異なった多種多様なファンが混在する。
例えばガンダムで言うと、宇宙世紀原理主義者や富野監督至上主義者、アナザーしか見たことのない人や不人気愛好家など様々だ。
ぼくはガンダムにおける大きなテーマは「人は分かり合えるか」だと思っているが、肝心のガンダムファンが分かり合えていない。
作品に好き嫌いがあるのは仕方ないけれど、過激なファンは日々、新作が発表されるたびに紛糾したり「あの作品を好きなやつはクソ」などと人格否定を繰り広げたりしている。


話をドラクエに戻すが、インターネット界の無責任集団ヤフコメでもドラクエの新作発表は話題になっていた。
気になったのは、割と年齢が高めと思われる人々のコメントだ。

他の皆さんが仰るようにDQに変化球はいらない。
FFのようになってはならない。
DQだけは昔の古き良きRPGを期待する。

結局ね、変化球はいらないのよ。
余計なことしないで今の技術でドラクエ3や4のようなのを作ってくれればどのハードで出したってハードごと売れるよ。

上記したようなコメントを見ると、「中華そば原理主義者」という言葉を思い出す。
ラーメン発見伝という漫画に出てきた言葉なのだが、一時期やたらとネット上に画像が出回ったので知っている人もいるかもしれない。

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作中で言われている「定期的に来て店を支えてくれるお客にはなりえない」という言葉が非常にしっくりくる。
言葉を借りるなら、「昔のドラクエ原理主義者」「古き良きRPG原理主義者」とでも言うべきだろうか。
語尾が「のよ」っておっさん(おっさんかどうかは不明だが)なんて、いい年して茶髪で若いやつにしょうもないビジネス論を語っている匂いが漂ってくる。
コメントした人らは、おそらくゲームを滅多にプレイしないか、過去には熱中していたけど今は全くやっていないかのレベルだろう。
そのため、自分が過去に慣れ親しんだ「コマンド選択式のRPG」=「ドラクエを求めているのだと思う。
今更操作が複雑なゲームなんてやる気にならないし、美しい映像も「目がチカチカする」とか言って拒否し、安心感を求めて昔ながらのものを好むのだ。
中華そば原理主義者と同じで、仮に古き良きドラクエを踏襲した続編を制作したところで、この人らがお金を落としてくれる客にはならない。
なんなら、ドラクエⅢのリメイクも同時期に発表されたのだが、変化球はいらないとコメントをしていた人らは新しくハードを買ってまでプレイするだろうか。いやない。(反語)

game.watch.impress.co.jp


「古き良き」って都合のいい言葉だなとつくづく実感した。
「昔からある良いもの」ではなく、「古い」やつらが「良き」と思っているものであるような気さえしてくる。
大体、昔ヒットしたものを今の時代にも受け入れられるようにアップデートせず、頑なに守り続けるって衰退していくばかりじゃないだろうか。
昔のドラクエ"だけ"を支持する人はいずれいなくなるが、ドラクエはそう簡単になくなるわけにはいかないのだ。
新しいファン層を獲得するためにも、今のユーザーに受け入れられる工夫はすべきだろう。
原理主義者たちも「アップデートするな」と言っているわけではないのかもしれないが、結局こいつらの機嫌を損ねない範囲での改良しか認めないのではどうしようもない。
ファミコンスーファミのゲームをプレイして、今も楽しいと思えるのは当時熱中してやってたからだ。
物心ついたときから最新ハードに囲まれて美麗なグラフィックでゲームをしている現代っ子が面白いと感じるかどうかは分からん。
レトロゲーム好きの好事家か、二言目には「エモい」と言うキモい顔をしたサブカル気取りのクソガキあたりは喜んでくれるかもしれないが。


一口に「昔からのファン」と言っても、初期から最新作までずっとプレイしている人と、古き良きドラクエ原理主義者のようにスーファミくらいで止まっている人がいると思う。
前作のドラクエⅪをプレイした人に話を聞いたが、BGMやキャラクターに過去作品のオマージュを感じさせる部分があり、ゲームシステムも割と良く、昔からのファンも楽しめる仕様になっていたようだ。
何より、Ⅺは原理主義者たちが大好きなロトシリーズにも関連した話なのだ。
「おっ、それならやってみようかな」と思うか「今更ロトを持ち出してきて昔のファンに媚びてる感じが気に食わないと」思うか、ヤフコメにいたような人らはどう反応するだろう。
古き良きドラクエが失われたと嘆いている人らは、実際にプレイして今のドラクエを知った上で判断したのだろうか。
キャラクターデザインが気に食わんだの、職業システムがないだの、呪文の語感が気に食わんだの、見聞きした情報だけで判断してやしないだろうか。
まあぼくも、好きな呪文であるバギ系の最上位が"バギムーチョ"になってたときは目を疑ったけど。