公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

教育の賜物

昔、ロンドンハーツの企画で、芸人の携帯電話に搭載されている文字入力の予測変換をクイズ形式にして当てるコーナーがあった。
予測変換はよく使う言葉や最近使った言葉が変換候補の先頭に表示されるので、ゲスな内容のものやエロを想起させるものは特に盛り上がっていた。
ぼくは自意識過剰なので、もしもこの企画が自分に適用されたらと考えて戦々恐々としたのを覚えている。
よく考えたら誰も自分の予測変換など興味はないのだが、それよりも「もしも見られたらどうしよう」という恐怖が勝ったのだ。
それ以来、携帯電話でもスマホでもパソコンでも予測変換機能はオフにして使っている。
あとなんか、機械ごときにぼくのニーズを先回りして解決されたくない。


携帯電話でも一応はネットに接続することができたが、それでもまだまだインターネットは専門的な知識が必要で、本格的に取り組もうと思ったらパソコンは必須だった。
ネットがより身近に感じられるようになったのは、やはりスマホが普及してからだろう。
今やパソコンを持っている人よりスマホを持っている方が多く、一家に一台ではなく一人一台のレベルだ。
ネットが一般的でなく携帯電話でやりとりをしていた頃は、浮気がバレる原因と言えば相手からの着信やメールが主だった。
ロンハーの企画でも、パートナー以外とのやりとりを連想させる内容の予測変換は盛り上がっていた。
ところが今は、パートナーの「検索履歴」を見てしまって幻滅するというケースもあるらしい。


ananweb.jp

まあソースがananなので、便所の落書き程度の気持ちで見てもらったらいいと思う。
そもそも、パートナーのスマホを勝手に見るのは誰も幸せにならないのでやるべきではない。
「やましいことがないのなら見せられるはず」という意見もあるだろうが、やましかろうがやましくなかろうがプライバシーに関わるものは見せたくない。
「彼女がチラ見して戦慄した『男性の検索履歴』」と予防線を張っているが、十中八九無断で見ているはずだ。
検索履歴なんてピンポイントなもの、うっかり目に入ってくるようなものではない。ましてやスマホの小さい画面である。
きっと普段から彼氏の隙を伺っては、スマホを覗き見る機会を狙っていたのだ。
勝手に見たことがバレたら責められるけど、彼氏の検索履歴はこき下ろしたいから、自分が被害者になりたいあまり嘘をついているとしか思えない。
最後の「彼氏が共用パソコンでエロ動画を検索していた女性」はわざと見ようとしたのではないので理解はできるが、エロ動画を検索していたことを幻滅されても困る。
「百歩譲って見るのは仕方ないにしても」じゃねえよ、なんでこっちがエロ動画を見ることをお前に譲歩してもらわないかんのか。
風俗なら賛否あるのは分かるが、エロ動画まで否定されたらどうしようもないではないか。
品性のない場末感丸出しのコンテンツを掲載している雑誌に言われたくない。


select.mamastar.jp

こちらは、子供の検索履歴を見て戦慄したお母さんの投稿だ。

『検索履歴に
女の子のトイレ
女の子の足に傷
人間が死ぬ
動物 死ぬ

などがありました。
検索はボイス機能を使ってやっていたようです』

5歳の子供にしてはなかなかパンチの効いたものを調べている。
「女の子の足に傷」は山本英夫の【ホムンクルス】に出てきた、自分の足首を切って血を飲んでた女子高生を思い出した。

f:id:mezashiQuick:20210609122432j:plain


「異常者が好みそうな動画」「どうしたら普通の子に戻ることができるのか」「一生このままなら一生監視するつもりでいます」と、お母さんも過激な言葉で気持ちを綴っている。
その反面、「異性に対する興味を厳しくシャットダウンして、健全に育たないのも不安です」と言っているあたり、母親の葛藤が伺える。
原文ママで引用したが、「シャットダウン」じゃなくて「シャットアウト」だと思う)
ぼくは子供がいないので母親の気持ちが分からないから、子育てについてごちゃごちゃ述べることはできない。
でもここで言う「普通」って理想の押し付けだなあとは思った。


そりゃ確かに、女性のトイレ風景に興味を持つのは多数派ではないかもしれないが、あくまでも対象がトイレだっただけで普段見られないものを見たいという気持ちは誰にでもある。
5歳の子供だったら男性と女性の身体的な違いも分かってないから、性的なものに起因したわけじゃなくて純粋に疑問に思っただけかもしれない。
死についても同じで、死ぬということがどんなことか理解していないゆえの検索履歴だろう。
実際にトイレを覗く行為や他人の足に傷をつけることがいけないことであると教えればいいだけだ。
他のお母さん方からは、「誰でも残虐性は持っているし、それがあるから命を大切にできる」「本人がただ単に疑問に思っていることを調べただけなんじゃないかなと思った」という意見が寄せられていたようだ。
子供のことなので過剰に心配してしまうのは分かるが、これを「性癖」と言ってしまうのは早計な気がする。
お母さんも普段からエロいことばかり考えているからそんな思考に至るのだ。
オマーン国際空港」と口に出して発音してニヤニヤしてるドスケベ人妻に違いない。


大体、お父さんとお母さんが夜な夜なやってるお前を作った行為だって、当人からしたら異常な光景だ。
だってそこはおしっこが出るところですからね、子供の常識から鑑みれば舐めたり入れたりするとこじゃないよ。
そもそも、どういう性癖がお母さんの言うところの「普通」なのだろうか?
「「おっぱい」くらいならこんなふうには思わなかったのですが」と記事内では言っているが、おっぱいが子供でも連想できるような安易な性癖だとするのは四六時中おっぱいのことを突き詰めて考えている人に失礼だと思う。
子供の検索履歴を「異常」と切り捨てるお母さんがどんな性癖を持ってるか、酒でも飲みながらじっくり聞きたいところだ。
自分らが普通だと思ってやってたことが、他人からすれば異常だなんてことはよくあることだ。
「男性の筋肉にグッとくる」とか「ベッドの上では正常位のみ」みたいなありふれたことを言うのだろうか。
正常位しかしないのも確実に異常だと思うが、それに気が付くことはないだろう。


しかし、自分が多感な時期にネットがなくて本当によかったと思う。
思い出すだけで恥ずかしくなるような痛々しいことをしていたのが容易に想像できる。
今の自分だったら検索バーにどんなエロワードを入れるだろうか。
素直に知りたいことを打ち込んでいた件の子供がある意味うらやましくもある。
ぼくはそうしたエロ関連の履歴には変な自尊心が働くため、直接検索バーに打ち込むのではなく「女優一覧」のコーナーから目当ての女優に飛んだり、好みのフェチズムを探したりする。
そうでなくても予測変換は消すに限るのだ。
「あ」の変換候補のトップに「明日花キララ」が出てきたら恥ずかしいでしょうが。