公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

もっとはみ出していこうぜ

ぼくは自分のセンシティブな部分については理屈をこねるのが好きなくせして、相手にもその敏感な部分や諸々の事情があることを考慮することがどうも下手なようだ。
「SEX & DRAG & Rock 'n' roll」だけで生きていけるほど人生は単純ではない。
自分の内面を分析しがちなこの性格を他人にも向けることができれば、相手の気持ちを尊重できる素晴らしい人間に生まれ変われると思うのだ。


ユニクロ好きな人には申し訳ないが、ぼくにとってユニクロは永遠の3軍・4軍であって、スタメンになることはない。
仕事着や部屋着、スポーツウェアとしての使い方はするものの、普段のお出かけや女性と遊びに行くときにユニクロは着ない。
ユニクロやGUは苦境のアパレルの中でも絶好調らしいが、それゆえに弊害も出てきている。
ひとつは、ここ最近街ゆく人の服装が似たような感じで統一されていること。
もうひとつは、ユニクロユーザー同士でのアイテム被りが発生することだ。
確かに質はいいのかもしれないが、やはりそれなりのブランドとの差は確実に出る。
他人が何を着ようとどうでもいいが、ぼくの中でのユニクロの立ち位置は昔と変わらない。


ぼくももういい大人なので、ここぞという場面ではここぞという服を着たい。
なおかつ洋服好きであるので、せっかく買うのなら上質で長く着られるアイテムを愛用していたい。
大切な仕事のとき、彼女にプロポーズをするとき、いくらあの価格にしては質がいいとはいえ、ユニクロのジャケットを着ますか?ということになる。
ユニクロのジャケットしか持っていない人が他に持っているのは、せいぜいビジネス用のジャケットくらいのものだろう。
着られればいいという姿勢の人を否定はしないが、そういうスタンスのユーザーが増えたからこそファストファッションの隆盛があり、今のアパレル業界の衰退があるのだと思う。
もちろん、アパレル業界にも落ちぶれるだけの原因はあるが、消費者にも問題がある。


誤解してほしくはないが、ユニクロをバカにしているわけではない。
ただ、質のいいものを着るとビシッとするし、テンションも上がる。
若いときは安価な洋服やカジュアル一辺倒でもいいかもしれないが、大人になるとチープなものばかり着ていられなくなる。
いい服を買うということは自分に投資をするということだ。
人の真価は見た目だけではないが、見た目も重要な判断材料になる。
初対面はその人にどんな実績があり、どんな看板を掲げているのか分からない。
そんな状態で締まりのないカッコをした人に、「中身を見てください」と言われてはいそうですかとなるだろうか。


確かに安い価格で服を購入できるに越したことはないが、安い服というのは「安いだけ」で終わってしまい、先がない。
「価値」と「価格」は明確に違いがあると思っている。
価格がその場で終わるものに対して、価値はこの先もずっと付きまとうものだ。
似合うかどうか試着を繰り返した思い出、購入するか店頭でいつまでも迷っていた思い出、購入して着倒していろんな所に出かけた思い出。
その全てが洋服の"価値"になる。
「安いから買っとこう」というその場限りのテンションは明日になれば忘れている。


ちょっと話は逸れるが、ぼくも昔は、年齢を重ねたからといっていちいちTPOや世間の風潮を気にして好きな服装ができないのはしょうもないと思っていた。
友人の結婚式やその他かしこまった場に行くことが増え、それっぽい服装をせねばならかったときに気が付いたことがある。
TPOを意識しつつ、普段の自分をいかにギリギリまで出すかを考えるのは面白いのだ。
いつもの自分の服装であればいつも通りで面白くないし、かと言ってかっちりフォーマルで決めすぎても楽しくない。
あくまでも場に合った格好をしつつ、自分の色をいかに出すかを考えると愉快な気持ちになる。
年齢に縛られるのはつまらないことなので、いつまでも好きなことをして好きな服を着るのがいい。
そこには大人にしか出せない"味"や"説得力"がある。


まあぼくとしては考えを押し付けるつもりはないし、「服なんてただの布じゃん」という意見があってもいい。
例えばぼくは自宅では100均で購入したドライバーを使用しているが、工具マニアからすれば「安い工具は安いだけ」なのだろう。
でもドライバーにお金をかけるつもりはないので、やっぱり好みを押し付けるのはよくない。
ひとりの洋服好きとして価値観を述べたまでだし、できたら同好の士がいると嬉しいなと思っているのだ。