公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

聞かれたことにだけ答えてくれたらいいから

ぼくはネガティブではあるけれど、別にポジティブ思考を否定しているわけではない。
一般的にはポジティブなほうがいいとされているが、彼らは声がデカいのでポジティブ思考のメリットが強調されやすいだけなのだ。
ネガティブ思考にもいいところはあるに違いない、知らんけど。
まあ何にしても、自分にとって生きやすい生き方で暮らしていけばいいと思う。
ぼくがあまり好きでないのは、ポジティブ思考を押し付けてくるエセポジティブ人間だ。


何の分野でもそうだが、自信がなかったり不安だったりするやつほど承認欲求が高く、目立ちたがるものだ。
"本物"は自分がよければそれで問題ないと考えているので、趣味嗜好や考えを押し付けてくることも、むやみに目立とうとすることもない。
自分を認めるのは自分、評価するのも自分と考えており、そういう人はエネルギーはあっても会話に圧がなく、接していて楽しくためになる。
本当にポジティブな人は、ポジティブ思考を押し付けたりしない。
ネガティブな人間に接しても、後ろ向きな考えを矯正してやろうとか、導いてやろうという考えにはならない。
教えてほしいと求められれば自分のマインドを教授することもあるかもしれないが、求められてもいないのに語り出すやつはめんどくさい。
自分のポジティブ思考に自信がないのか、ポジティブでなかった頃の自分を思い出して不安になるのかは知らないが、お前の生き方が他人にも当てはまると思うな。
何かの本で読んだことがあるが、「教えてやろう、導いてやろう」という姿勢はコミュニケーションとは言わないそうだ。


先日、【嫌な思いをしたときのおススメ対処法】という記事をネットで見た。
その人は何か嫌な思いをすると、脳内のポイントカードにスタンプを貯めていくとのこと。
そして、スタンプが貯まると自分の好きなものを思う存分食べてストレスを発散するらしい。
本人がその方法でうまくいっているのなら口を挟むべきではないが、なんか精神的によくなさそうだし、少なくともぼくには合わない。
嫌な体験をした分スタンプを貯めるということは、嫌なことがあったと覚えておく必要がある。
しかも、実際にスタンプカードがあるわけではなく、スタンプは脳内で管理されている。
ということは、何ポイント貯まっているか分からなくなったときに、「あのときのあれで1ポイントだから…」と、いちいち嫌な思い出を反芻しないといけない。
嫌なことなんかさっさと忘れるのがいいと思うのだが、対処法の考案者はそうではないのだろうか。
まあ、【嫌なことがあったスタンプカード】的なものを作って管理しているのもどうかと思うけど。
ぶつかってきたのに謝られなかったとか、傘を盗まれたとか、性病をうつされたとか、養育費を払ってもらえないとか、そんなことを逐一記憶して蓄積していくのはしんどいと思う。


まあ別にこの人は押し付けているわけではないし、ちょっと話がそれたので元に戻す。

www.e-aidem.com

髭男爵山田ルイ53世(目立ってる方)が結構好きで、たまたま見つけたこの記事も共感しつつ読んでいた。
特に共感したのはこの記述だ。

最近しきりに「こんな時こそ前向きに」みたいなフレーズを耳にしますが、こんなに暴力的な「こそ」はないと思ってしまいます(笑)。「こそ」という言葉の銃を後頭部に突きつけられて、「いかなる時でも前を向きなさい!」と言われているような、そんな圧を感じる。「こそ」ひとつで、全ての状況をひっくり返せると思うなよ? いつからそんな権限を「こそ」に与えたんや! と。

エセポジティブ思考ってまさにこの発言で言われているようなことで、後ろを向くのは人に非ずみたいな風潮なのだ。
これがちょっと進化すると「マイナス思考な部分も受け止めて、ありのままの自分を受け入れましょう」となるが、うるせえと思っている。
山田氏は、「ネガティブに生きろ」ではなく「常にシャキッとしてたら疲れるでしょ」と言いたいのだと感じた。
平日はおろか、週末も毎日のように予定を詰め込んで動き回っている人がいるが、しんどくないのだろうか。
まあ、向いているからやっているのだろう。エネルギーを押し付けてこなければ何でもいい。
マツコも言っていたが、インドア派よりアウトドア派のほうが良しとされている風潮もちょっと納得できない。


昔、自己啓発系の本を何冊か読んだことがあるが、そこで述べられている「サクセス」みたいなものって、どれもこれも華やかなものだった。
別に、日の当たらない環境が無価値というわけではないし、居心地がいいと思って日陰にいる人もいる。
派手で豪勢な暮らしをしているから成功したというわけでもないだろう。
空を自由に飛んでいる鳥も、岩の下にいるダンゴムシも、比べたところでどちらが幸せかなんて分からない。
「そんな暗いとこにいないで、出てきなよ!」とダンゴムシを強引に引っ張り出すのがぼくがうんざりしているポジティブバカなのだ。