公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

ファッショニスタ典子

ぼくが普段買っている服はファッションに興味のないからすると高額な部類になると思う。
別に高いから買っているわけではなくて、流行に左右されず長持ちするアイテムを選んだら高くなるだけのことだ。
世の中には高いだけ・安いだけの服はたくさんある。
一応は価格も購入の判断材料になるが、最終的には納得できるかどうかなので値段は度外視することも多い。


ブランドロゴがでかでかと印字されたアイテムを身に着けている人がいる。
近年はストリートファッション熱の高まりや80年代ファッションのリバイバルから、ロゴTがブームだ。
ああいうアイテムはどうも身に着けるのに抵抗がある。
何でかはどうも説明しづらいのだが、とりあえず「恥ずかしい」という感情が先行する。
特にハイブランドのアイテムは誰が見ても分かりやすいアイテムが多い。
女性はバッグだけはハイブランドという人もいる。
別に好きな格好をすればいいのだが、バッグだけ高いやつだとアンバランスな感じもする。
一点豪華主義」というと聞こえはいいが、「それしか持ってない人」にもなりかねないと思う。
四隅が擦り切れていてきったないバッグを持っているのはみっともない。


ファッションには「匿名性」が大切だと思っている。
あるひとつのアイテムを主役に押し出したコーディネートをすることはある。
だが、ブランドロゴが目立つと主張が強すぎるので、「それだけ」の人になってしまうこともある。
アイテム自体の主張が強い服は好きだが、ブランドの主張が強い服は苦手だ。


前、某百貨店でゴテゴテのブランド品で固めたおっさんを見た。
DOLCE&GABBANAのロゴが白で縁取りされたウールのジャケットを着て、靴も流行りのダッドスニーカーだ。
それだけ分かりやすいブランドもので固めているにも関わらず、おっさんは「ハゲ散らかす」という言葉がぴったりな髪形をしていた。
頭髪が薄いのは仕方がないが、セットしているとは思えないぼさぼさの頭である。
顔から下はブランド品なのだが、寂しく散らかった頭髪と相まってみっともなさに拍車がかかっていた。
ブランドで固めている人って、どうもそういう「ブランド頼り」なイメージがある。
「高い=いいもの・おしゃれなもの」と勘違いして、金をかければいいと思っている。
匿名性の高い服はコーディネートに取り入れやすく、デザイン勝負でないので素材にこだわったものが多い。
ブランドもので固めて成金アピールするよりは、素材にこだわった流行り廃りのない洋服を着るのがカッコいい大人だと思う。


「まさかそのアイテムがそんなにいいものだとは思わなかった」というのが本当にセンスのある着こなしだと思う。
歴史のあるものだったり高価なものだったりというアイテムを、何気なく着こなしに取り入れている人は素敵だ。
みんながみんな着こなしを楽しめていたり、洋服の審美眼に自信があったりするわけではない。
そのため、とりあえず世間で流行っているものや、いいとされているハイブランドのアイテムを身に着けるのはもっともなことだ。
自分のセンスに自信がなくても、高いものを持っているというアピールはできる。
もうみんな、流行とか追っかけるのやめようぜ。疲れるし。
アパレル業界が話し合って、何を流行らせたいか決めて売り出した色やアイテムにワクワクはない。
今年は「くすみカラー」がトレンドらしいけど、そんな色合いの洋服は昔からあったのでね。