公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

レジ伯爵

ソーシャルディスタンスとかいう聞きなれない言葉が一般化して、飲食店ではお客さんを密集して座らせなくなったし、スーパーなどのレジでも距離を取って並ぶことが推奨されている。
詰めて並べないということはその分行列が長くなってしまうわけで、客サイドとしてはさっさと会計を済ませてレジから離れ、列の一端を担うのをやめるに限る。
レジで会計が終わっているのに、いつまでもそこに留まってダラダラしているやつは何を考えているのだろうかといつも思う。
後ろに人がつかえているのが見えないのだろうか。
少しは急ぐ素振りを見せてはどうだろうか、貴族かなんかだろうか。
混雑している状況でモタモタできる人間は本当に神経が太いと思う。


お釣りを小銭入れに入れ、ポイントカードをカード入れに収め、レシートを財布の定位置にしまい、財布をカバンに放り込み、カバンの口を閉じ、ようやくレジから離れる。
年配の人がやる分には仕方ないが、若い人がやっているとイライラする。
百歩譲って小銭は散らばってしまう危険があるので、レジ前でやるのは理解できる。
だが、それ以降の動作は袋詰め台でも可能なはずだ。
防犯上、きちんと財布をカバンに入れないと不安という人もいるだろう。
だったら先に財布だけカバンにしまって、カードだのレシートだのはとりあえずの避難所みたいなところに収納しておけばいいのだ。
レジから離れた後で、いつもの定位置に移動させればいい。
全ての動作をレジ前で完結させる意味が分からない。


また、商品の合計額を言われてから財布を取り出す人なんかは、もはや意味が分からない。
レジ待ちの間にスマホをいじっていて、会計のときにようやく財布を用意するやつも腹立つが、スマホをいじっていたという理由があるので納得はできないが理解はできる。
だが、スマホをいじっているわけでもなく会計のときまでぼーっと突っ立っているやつは、その間に何を考えていたのだろうか。
そのまま商品を持って帰れると思っていたのだろうか。
モノを購入するのにお金が必要なことを知らないのだろうか。
そんなやつに限って小銭をいつまでもゴソゴソしているので、とにかく遅い。
あらかじめ財布を開いておいて、小銭の大体の枚数を把握しておけばいいのに。


昔読んだ本で、イライラしたときは自分の中で「減った」ものが何かを考えるといいと書いてあった。
「減る」ということは突き詰めると命の危機に繋がるため、根源的な恐怖に結び付くのだそうだ。(お金、食料など)
ぼくの場合は「自尊心」が減ったと思い込んでイライラすることが多い。
「自分が後ろに控えているのに、何をダラダラしとるか」という、自分がないがしろにされたような気持ちなんだと思う。
文章にすると非常に性格が悪いが、分析するときっとこんな感じだろう。
レジ前でダラダラしてる人は別にぼくを貶めようとして遅くしているわけではないので、自尊心はおろか何も減ってはいないのだが、減ったと思い込んでイラついてしまうのだから精神衛生上よろしくない。
分かってはいるのだが、レジでモタモタするやつも、ATMをいつまでも占領しているやつもイライラして仕方がない。
こういうのはすべて己の自信の無さからきていることなので、高畑充希がケンタッキーを持って訪ねてきてくれたらもう一生ケンタッキーでいい。