公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

もっとぶつかっていけよ

女性ファッション誌にはよく、【キラキラ新人OLの着回しコーデ☆】とか、【アラサーお仕事女子の一週間スタイル♪】みたいな、参考にしている人を見たことがない着回し特集がある。
ぼくが最初に見たのはエビちゃん系OL全盛期のCanCamだった。
着回しコーデの主役には設定が付与されており、冒頭で挙げたような新人OLだったりキャリアウーマンだったり、広告代理店に勤めていたりイベントプランナーだったりと、都会的で鼻につく感じの生活をしている。
そう言えばぼくが見ていた男性ファッション誌でも、ストーリー仕立てで主役の男性の着回しファッションを紹介していた。
女性誌でも男性誌でも異性が絡んでくることがほとんどで、異性受けするファッションを提案できるところも見どころのひとつなのかもしれない。
どこの雑誌を起源としていつから始まったのか定かではないが、今や珍しくもない特集になっている。
いつ頃からかネタに走ったストーリーになり、話題になったもん勝ちとばかりに変な設定を盛るようになってきた。
こないだたまたま見かけた設定はライターが確実にふざけており、何を伝えたいのか分からずファッションを見るどころではなかった。


magacol.jp

何を思ってこんな設定にしたのか分からない。
男女が入れ替わってしまうというストーリーのパンチが強すぎて、見せたい軸が完全にぶれている。
あえてフォローするなら中身が男性になったことにより、メンズライクなコーディネートを提案していこうということかもしれない。
コーディネートやストーリーを見ていると、入れ替わる前のチエミはスカートを好んでいたようだが、中身がタクになってからはパンツスタイルがメインになっている。
だが、それならボーイッシュなファッションを好む女性を主役にすればいいだけで、何も中身まで男性にすることはない。
世の中にどれだけ、同僚の男性と中身が入れ替わってしまった女性がいるだろうか。
せめて、君の名はがブームになっている頃に企画していれば良くも悪くも話題になったかもしれない。


magacol.jp

個人的にイラっとしたのはこれだ。
「それなりの歳だから、ブラジャーを見ても動揺はしないけど」って、こいつは確実にオスとして間違っている。
この入れ替わった男女は、職場の同僚という設定だそうだ。
見知った人間が普段着けているブラジャーを見ることが、どれだけ興奮するかこの記事を書いたライターには分からないのだろうか。
そのあとに「やっぱりなんか、恥ずかしい(汗)」と付け加えているが、ちょっと冷静に俯瞰しているあたりも腹が立つ。
恥ずかしいじゃなくて、もっとブラジャーに真摯に向き合って遮二無二にがむしゃらになれよ。何だ恥ずかしいって、小五か。
陳列されているブラジャーとは訳が違う、職場でいつも顔を合わせているあいつのブラジャーである。
その人と仲が良かった場合、普段あまり意識していなかった"女"の面を不意打ちで浴びせられて興奮する。
顔見知り程度でも、性格や趣味嗜好をすっ飛ばしてブラジャーから知ることによる非日常で興奮する。
地味なブラジャーでも派手なブラジャーでも、「あいつ、こんなブラジャーしてんのか」と、どっちに転んでも興奮できる素晴らしい要素だ。
こっちはブラジャーが見たくても見られないジレンマを抱えつつ日々がんばってんのに、「ブラジャーを見ても動揺しないけど」とか、ブラジャーを軽んじたこいつの振る舞いは万死に値する。
何が正しくて何が間違っているかなんて育ってきた環境や生きている社会で異なるだろうが、顔見知りのブラジャーで勃起できないやつは確実に間違っている。


この男性は30歳で、20代の頃はそこそこモテてきたが、最近は振るわない日々が続いている設定らしい。
結局、こいつが不調なのはブラジャーで興奮していた童貞の頃の気持ちを忘れてしまっているからだ。
全てにおいて慣れすぎてしまったのだ。
みうらじゅん氏が言っていたが、童貞のマインドはいつまでも大切にするべきらしい。
なまじ女慣れしてくると、『こうすれば嬉しいんだろ』とか『こうすれば気持ちいいんだろ』とか、女性に対する接し方が雑になって、惰性でコミュニケーションを取るようになるそうだ。
その点、童貞マインドを持っているといつまでも女性慣れしていないスタンスで接することができるため、『これで本当に喜んでくれるか』と相手の立場を考えられるそうだ。
こいつはモテてきたがためにいつからか、自分のために今日のブラジャーを選んでくれた女性の気持ちなんか考えることなく、サンドイッチにパセリを乗せるように流れでブラジャーを外してきたのだ。
人生で初めて彼女とセックスをするとき、ブラジャーを見ただけで爆発しそうになっていたあの青さをこいつは忘れてしまったのだ。
ブラジャーを選んでくれた女性、そしてブラジャーそのものへのリスペクトといやらしい気持ちを抱かずに申し訳ないと思わんのかお前は。


なんかこう、「自分はそういうのいいんで」みたいな、性欲と自分は遠いところに位置していますよ的なスカした男がぼくは嫌いだ。
下ネタを好まない上品な人間だと自分では思っているかもしれないが、実は周りから扱いにくいやつだと遠慮されているだけなのだ。
草食系男子だの、ロールキャベツ系男子だの、そんなくだらんカテゴライズなんかどうでもいいのだ。
そんなやつはすべからく「インポ」でいいのだ。