公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

スポーツと大人と無罪の話

東京事変の【スポーツ】というアルバムがいいと教えてもらったので聞いてみたが、なんか思ったよりポップス寄りで面白くないなというのが率直な感想だった。
"閃光少女""能動的三分間"が収録されているものの、全体の出来としては【大人】のほうが圧倒的に完成度が高い。
ただ、【大人】も"修羅場"がシングルバージョンではなくアルバムバージョンになっているので残念ではある。
【大人】には大正義とも言える至高の名曲"透明人間"が収録されている。
"透明人間"だけでも十分に戦えるのだが、その次の"手紙"と合わせて聞くともう切なすぎて野山を駆け巡りたい衝動に駆られる。


ぼくは椎名林檎が好きなので、初期のアルバムはそこそこ持っていたりする。
CDを買わなくなって久しいため、ちょっと前に発売されたベストアルバムは購入していないが、最近はCDを買いたい欲が強いので、買おうかどうか検討している。
ぼくは東京事変のアルバムは【大人】で止まっているので、知識が古いのはご容赦いただきたい。


今は一曲からお気に入りの曲をダウンロードすることができるが、やはりアルバム単位で聞いたときの完成度を楽しみたいので、好きなCDは購入したいし、いつまでも所有していたい気持ちがある。
その点、椎名林檎のファーストアルバムである【無罪モラトリアム】は素晴らしかった。
"正しい街"→"歌舞伎町の女王"→丸の内サディスティック"の流れはいつ聞いても痺れる。
一人の女性の成長と生き様、栄枯盛衰を歌にしているようで、最高にカッコいい。


無罪モラトリアム】は名曲揃いなのだが、唯一残念なのが、ぼくが大好きな曲で女性に歌ってほしい歌No.1である"幸福論"に変なアレンジがかかったバージョンで収録されていることだ。
あの謎アレンジがなければ、名盤と言われる一枚であることは間違いない。
ベスト盤は"幸福論"がオリジナルバージョンで収録されているのも素晴らしい。


ちなみに、先ほど紹介した東京事変の【大人】はアルバムジャケットが香水の写真なのだが、初回限定盤には歌詞カードにこのアルバムをイメージした香水の匂いが塗布されている。
このブログを書くにあたり、CDを引っ張り出して嗅いでみたが、まだハッキリと香りが残っていた。
実際にCDを買うというのは、歌詞カードやジャケットの装丁や写真、それらが醸し出す世界観を感じることもできるし、こうして当時の思い出を振り返ることもできるので、モノとして持っておく意義はやっぱりある。


昔、ある女性との会話の中で、その子が東京に遊びに行った話をしだした。
特に目的を決めずに行ったため、見るものが多すぎて疲れてしまったという締めだったのだが、その例えとして『"丸の内サディスティック"の歌詞みたいだった』と言っており、アゴにいい一撃を喰らったかのように一発で好きになった。*1
感想に椎名林檎の曲を引用するボキャブラリーが非常に知的で魅力的で、彼女の教養と感性を伺わせるエピソードである。
まあ最終的にはフラれたのだが、心の中の林檎ちゃんが言うのだ。


君が其処に生きているという真実だけで幸福なのです…

*1:「東京は愛せど何も無い」という歌詞がある