公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

果たしてどちらが蛮族か

【アマゾンの奥地で未開の部族を発見】みたいなニュースの見出しを見たことがあるが、
発見も何もその部族は昔からそこにいたのであって、一体何様のつもりなのだろうかと思った。


観測する人類がいることによって、初めて宇宙はその姿を現すという【人間原理説】を聞いたことがあるが、
観測者がいようがいまいが宇宙は存在しているので、部族を発見してやった的な文明人の驕りが見え隠れしていると感じた。


これまたネットニュースの話になるが、【ポケモンGOをまだ続けている人に理由を聞いてみた】という記事を読んだことがある。


内容については特筆すべきところはないが、どことなく『まだやってんの?』的な嘲りを感じさせる記事だった。


ブームというものは、それが終わるとまさに『まだやってんの?』という最もダサいものになってしまうが、
その人はそれが好きだから続けているのであり、お前らが勝手に流行りに飛びついただけのことだ。


自分の好きを貫くことは、節操なく何にでもいっちょかみするような奴とは比べ物にならないくらい尊いことだ。


ポケモンGOに関しては新しくリリースされたサービスのため、スタート地点は全員同じだったが、
既にあるものがブームになったとき、昔からそれを好きだった人は迷惑だろうなと感じることもある。


新規参入者は静かに楽しんでいた先人たちの領域に大勢で踏み入り、大声で騒ぎ、自分たちの居心地をよくするために主張する。


先人が『静かにしろ』と注意でもしようものなら、『初心者に優しくない』だの『選民思想』だのと文句をたれ、
既にある文化に対してのリスペクトをまるで感じさせることのない振る舞いをする。


結局、ブームが終われば去っていくのだが、自分たちが踏み荒らした領域に対して『まだやってんの?』と
後ろ足で砂を掛けることは忘れないらしい。


流行に飛びつくのも、ミーハーであることも、決して悪ではない。


どんな分野にも、培われてきた歴史やマナーがあり、過去があって今があるのだ。


歴史にあぐらをかいた古参が偉そうにしているのもそれはそれで不快なので、
新参には空気を引っ掻き回してほしいと思うこともあるが、お互いが優しくなければみんなが不幸になる。


未開の部族の暮らしは、我々からすれば信じられない文化や風習があるかもしれないが、
その人らはそれが全てなのだからそうするしかないわけだし、そもそも文化に優劣はない。


捕鯨文化にケチをつけてくる白人どもは、野蛮人を啓蒙してやっていると勘違いしているようだが、
相手の文化や価値観が劣っていると決めつけ、自分たちの考えを押し付けてくる行為こそ野蛮である。


軽蔑したり迫害したりするのではなく、
尊重することが様々な価値観を知っている人としての振る舞いなのではないか。


この例えだと、ブームになる前からそれが好きだった人が未開人で、後から入ってきた人が文明人みたいになってしまうので
適切ではなかったし、なんかうまいこと言ったつもりが完全に滑っているなと思った。