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ある日の少年とコート その三

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今日は青島コートと踊る大捜査線にまつわる思い出。


今のようにインターネットが一般的でなかったため、当時はドラマで出演者が着ていたアイテムを特定するだけでも一苦労だった。


ぼくが青島コートの次に目を付けたのは、青島ウォッチだった。


カーキ色(オリーブ?)のバンドでゴツめのボディであり、コートの色と合っていて非常にカッコよかった。


テレビシリーズが終了した後に放送された、踊る大捜査線スペシャルドラマ
踊る大捜査線 歳末特別警戒スペシャル】において、犯人をぶん殴って時計を壊したすみれさん(深津絵里)に
青島が自分の時計をあげるシーンは、深津絵里の笑顔がとにかく可愛かったことを覚えている。


余談だが、歳末特別警戒スペシャルはドラマ・映画を合わせた踊る大捜査線シリーズの中でもぼくが最も面白いと思う作品だ。


ドラマで湾岸署を去ることになった青島が戻ってくる内容がメインなのだが、
話のテンポがよく、何より青島を再び見られる嬉しさはたまらなかった。


出演者もやたらと豪華で、犯人役の稲垣吾郎の怪演は癖になるハマり具合だったし、
駆け出しのころの仲間由紀恵伊藤英明も登場する。


関連書籍を読み漁り、青島ウォッチの正体は【ハミルトン】という時計のメーカーであることが判明した。


エルビス・プレスリーが愛用した【ベンチュラ】という時計が有名なメーカーであるとかなり後で知ったので、
当時は時計のブランドなんてG-SHOCKくらいしか知らなかった。


時を同じくして東京に修学旅行に行くことになり、たまたま入ったアメ横のミリタリーショップで
ハミルトンの青島ウォッチを見つけたときは、本気で買って帰ろうかと思った。


自分のお小遣いやお土産代を総動員すれば買えないことはなかったが、中学生のぼくには
あんな高価な時計をポンと購入するだけの度胸がなかった。


軍モノの時計なのでそこまで高価ではないため、買おうかなと最近検討している。


結局、時計は購入できなかったので、警察博物館みたいなところに売っていた
警視庁のマスコットキャラクター【ピーポくん】の携帯ストラップを買って帰った。
(ちなみにまだ家にある)


また、踊る大捜査線と言えば、エンディングで青島が空き地の柵の前を歩いているシーンであるが、
あそこは当時まだ全く開発されていなかったお台場だったらしい。


修学旅行とは別で東京に行く機会があったとき、バスの中からあの柵らしきものを目視することには成功したのだが、
残念ながら降りて見に行くことはできなかったので、脳内で青島気分で歩いていた。


あれから10年以上経過し、当時の青島の年齢はゆうに超えてしまった。


社会人になって思うことは、あんなラフなコートをスーツに羽織るって型破りにもほどがある青島は。


最近はスーツスタイルでのリュックも一般化しているが、スーツスタイルでのモッズコートはこの先定番になる気がしない。


時代の先の先を歩いていた青島には、本当に感服するばかりだ。


踊る大捜査線はその後、スピンオフ作品が量産され、エンタメとしての側面が強くなりすぎたように思うし、
ぼくもそのあたりで見るのをやめた。


具体的には、【容疑者 室井慎次】あたりからもう記憶が怪しい。


作品がぼくに合わなくなったことも大きいが、
最大の理由は和久さんを演じていたいかりや長介さんが亡くなったことだ。


踊る大捜査線シリーズの遺作としては、THE MOVIE2ということになるが、
容疑者 室井慎次でも和久さんの名前だけは出ていたような気がする。


少年だったぼくが和久さんにそこまで思い入れがあったことが意外なのだが、
当時から和久さんには哀愁を通り越した物悲しさのようなものを感じていた。


いかりやさんの声質もあるかもしれないが、あの人はとにかく絞り出すようにセリフを言うので、
迫力もあるが老いた人間の切なさも同時に感じる。


踊る大捜査線には明るい登場人物が多く、各々トラウマや乗り越えるべき過去を抱えているが、
哀愁や悲しみを内包したキャラはぼくの中で和久さんしかいなかった。


和久さんはいいことを言った後、照れ隠しで『なんてな』と付け加えるのだが、
THE MOVIE2では和久さんの最後のセリフがそれであり、つまり踊る大捜査線においても最後の言葉だった。


その後、織田裕二柳葉敏郎が実は不仲だったことを知り、当時のピュアな思い出が汚された気持ちになったこともあって、
踊る大捜査線シリーズからは完全に手を引いている。


ぼくの中で、踊る大捜査線はTHE MOVIEの一作目までで終わっているが、いかりやさんの最後の姿が見られるということで
THE MOVIE2はDVDが手元にある。


THE MOVIE2のDVDは、エンドロールの最後に和久さんといかりやさんに向けたメッセージが追加されており、
その一文だけでも持っておく価値があると思っている。


ハマったドラマ、好きなドラマを聞かれれば迷いなく食い気味で踊る大捜査線を上げるし、
ドラマ本編だけでなく、それにまつわる思い出が盛りだくさんな作品は他にない。


書いているうちに、また別のハマったドラマ【池袋ウエストゲートパーク】のことを思い出したので、
そのうち思い入れを綴ろうと思う。