公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

泡の数だけ愛してる 前編

前回言ってなかったので今さらですがあけましておめでとうございます。
今年は帰省もせず、こんな状況なので特に目的を設けて外出することもしなかった。
正月だからと言って何かおいしいものを食べるわけでもなく、外食の習慣もないのでいつも通りの慎ましやかな食生活でもあった。
その上我が家にはテレビがないため正月特番を見る機会もなく、ここまで正月気分でないのは人生で初めてかもしれない。
それを特に問題であると感じてはいなかったし、コロナ禍の今になって変わらない日常というのは尊いものであることを実感した。
とは言えルーチン化された変わり映えのしない生活は認知症の始まりであるというのを聞いたことがある。
新しいことに挑戦したり、いろんな人と出会って話をしてみたり、多くのものから刺激を受ける変化に富んだ生活も豊かな人生を送る上では大切なのだ。
そんなわけで、正月はかねてからチャレンジしたいと考えていたお菓子作りを実行に移すことにした。
以降は初めてお菓子を作った記録になる。


前提として我が家には電子レンジやオーブンの類がないので、ケーキやクッキー的なお菓子を作ることはできない。
なくても製作可能かもしれないが、後述する理由によってあまり気乗りはしないのだ。
テレビも電子レンジもなくて文化的な生活ができるとお思いだろうが、両方所有している人より文化的な素養は高いと自負している。
調理器具の不足に加え、今までお菓子を作ってこなかった最大の要因が「自宅に普段ある調味料と道具では完結しない」というのがある。
自宅に基本的な調味料は揃っているとは思うが、それでも薄口醤油やオリーブオイルだけで作れるお菓子などない。
つまり、わざわざお菓子用に材料を揃える必要がある。


お菓子作りと言えばこれという材料を適当に列挙すると、ベーキングパウダー・バニラエッセンス・生クリーム・グラニュー糖などがある。
これらの製菓材料は基本的にお菓子を作るときにしか使えず、他の料理にフレキシブルに投入することは不可能だ。
生クリームはカルボナーラに使うとか、そういった例外はとりあえず置いておく。
お菓子作りの習慣があればいいが、そうでない場合は買ったところで余らせて腐らせてしまう可能性が大きい。
必要な材料が多ければ多いほど初期投資が高くつき、ダメになる材料も増えることになる
ややこしい調味料もそうだが、使いどころの少ないものは一人暮らしであれば余程の料理好きでもない限り買わないのがベストだ。
以前、唐揚げにナンプラーを入れると美味しいと聞いたことがあるが、我が家にオリエンタルかつエスニックな調味料は存在しないのでナンプラーだけ買ったところで使わない未来が目に見えている。


また、お菓子作りのためにややこしい器具を買うつもりもなかった。
前述したように、お菓子作りにしか使えない調味料と同様、使用用途が限られている調理器具を購入したところで使わなくなってはもったいない。
電動の泡立て器なんて買ったところで普段は確実に使わないし、ケーキの上に生クリームをぎゅっと絞るやつ(名前知らん)なんて、あれ以外何に使えばいいのだろうか。
継続的にお菓子作りをするモチベーションでもない限り、形から入って材料や器具を気合い入れて揃えることは避けたい。
よって、ぼくが最初のお菓子作りを始めるに当たっては、【初期投資が少ないこと】【気軽に作れること】が絶対条件となる。


そんなハードルの高さから今まで敬遠していたお菓子作りであった。
わざわざそのためだけに初心者でも手を出しやすいレシピを調査するモチベーションもなかったし、そんなことを覚えるくらいなら好みの体型をしたAV女優を一人でも多く頭にインプットしたかった。
しかし、近年ブームになっているとあるお菓子がきっかけで、この年末作ってみようと思い立ったのである。

意外と長くなったので後編に続く。