公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

大好きな人々 大好きな明け暮れ

ぼくは洋服が好きで、まさに着道楽というやつだ。


恐らく前世がミノムシだったのだろう、遺伝子に刻まれた宿命なのでしょうがない。


単純に趣味だったり、自己表現のためだったりで洋服を選んでいるが、
その果てには一体何があるのだろうと考えることがある。


趣味とは突き詰めて考なければ意味がないとみうらじゅんさんも言っていたので、
洋服を商売にしているわけでもないぼくはどういう形で趣味を突き詰めていけばいいのだろう。


こないだ、行きつけの洋服屋のオーナーさんが素敵なことを言っていた。


そこは大手セレクトショップではなく郊外にある個店で、周りに洋服屋は何もないような場所だ。


個店ならではのセレクトが魅力で、洋服以外のラインナップも素敵なものが揃っており、
過去には店内でライブを開催したりと、刺激的な取り組みをしているお店だ。


『自分は奇妙な人に会うために人生を旅している。
そのために奇妙なものを集めて身につけ、
奇妙な人生を送りたい。』


オーナーさんが店で面白い試みができるのも、周囲にいる愉快な人たちが
賛同して力を貸してくれるからだろう。


実際、店でのイベントで会った人は、一見常識的でありながら、
どこかネジが(いい意味で)外れたような印象を受けた。


ぼくが昨年初めて出会ったデザイナーさんは、本当に少年のような人で、
やっていることは誰も思いつかないようなある種クレイジーなことなのだが、
それをひけらかしたり自慢したりするわけではなく、
おもちゃを見つけた子供のように楽しそうに話す姿が眩しかった。


そういった人に共通しているのは、
金儲けというよりは本当に好きだからやっているのが伝わってくることだ。


売れる売れないや評価されるされないは関係なく、自分の作りたいもの・表現したいカタチを
全力で追及している姿勢は本当に美しい。


オーナーさんがそういった人に縁があるのは、自身もやりたいことを楽しんでいるからであり、
頭のおかしい人には、頭のおかしい人が寄ってくるのだ。
(これは誉め言葉である)


ぼくより一回り以上年上にも関わらず、アグレッシブな人なのだ。


最近は仕事を辞めてちょっと時間があったので、気になっていた飲食店や骨董のお店を巡るようにしている。


店主の個性を反映した素敵な店が多く、ぼくにバシッとはまるのを感じる。


ぼくはまだまだ旅の途中だが、自分なりの奇妙な人との縁がちょっと始まった気がしている。


誠実に思われたいのなら誠実に思われたいなりの行動をするし、
結婚したいのなら結婚したいなりの行動をするし、
周囲から見てもそれは伝わるものだ。


奇妙なものを身に着けることで、あいつ変なやつだなと思って寄ってきてくれる人がいると嬉しいし、
ぼくも変な人との縁は大切にしていきたい。


ただ、残念なことにぼくは割と常識的で冒険をしない性格な上に、
人づきあいが下手で社交的でない。


見た目を改善することで性格が変わるとはいかないようで、
おそらくこの性格と付き合いながら旅していくことになると思う。