公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

流行りの服は嫌いですか?

ジブリでは紅の豚が好きなのだが、その話をすると、
『飛べない豚はただの豚のやつでしょ?』
とか言ってくるやつは口と肛門の位置を入れ替えてやりたいと思うくらい腹が立つ。


『飛べない豚』ではなく『飛ばない豚』正確には、
『飛ばねえ豚はただの豚』である。


豚は飛べないし飛んだとしても豚に変わりはないけど、それでも飛ぶか飛ばないかという話で、
カッコいいかどうかはとりあえず飛んでみないと分からないのだ。


Amazon Prime Musicを見ていたら、【ジブリ主題歌大全集】みたいなアルバムがあったので聞いてみることにしたのが全ての始まりだった。


最初はラピュタのED【君をのせて】から聞いてみることにしたが、もうイントロの木管楽器みたいなのが流れた時点で、ラピュタのラストシーン周りの思い出が走馬灯のように蘇ってきた。


浮上していくラピュタ、お墓に花を供えるロボット兵と小動物、手を振って別れるシータ・パズーとドーラ一家。


なんか知らんけどちょっと泣けてきた。


毎回ジブリを見終わった後にやってくる謎の喪失感は一体何なのだろうか。


その後はトトロのED【となりのトトロ】を聞いたのだが、こちらもぼくのセンチメンタルとノスタルジックの栓を開ける楽曲だったようで、急激に切なくなった。


サツキとメイがネコバスの後部座席で笑っているシーンや、メイとおばあちゃんが抱き合って再会を喜ぶシーンなどが一気に脳内を駆け巡り、酔っぱらっていたら涙でもこぼしそうだった。


トトロに登場したおばあちゃんがぼくが高校生のときに亡くなった母方の祖母とダブり、故郷での日々を思い返して鬱々としたり、現状に対する焦燥感が駆け巡ったり、言葉にならない主にネガティブな感情でいっぱいになった。


子供の頃に感じることはなかった、ジブリを見終わった後の喪失感の正体はきっと、戻ってこないし戻れない昔に思いを馳せてみたり、大人になったことや年を取ったことへの後ろ向きな気持ちだったりするのだと思う。


ぼくはここ10年くらいはクソみたいな人生を送っているが、それでも昔を懐かしむことはあっても昔に戻りたいと思うことは全くと言っていいほどなかった。


スタジオジブリはそんなぼくのATフィールドをたやすく突破し、SMAP夜空ノムコウ風に言うなら、『ぼくの心のやわらかい場所を今でもまだ締め付ける』のだ。


学生の頃に流行った音楽を聴いて懐かしむレベルとは比べ物にならない、血肉やDNAレベルで記憶が震える体験をした。


イントロを聞いただけで一瞬にして作品の場面が思い浮かび、少年時代の記憶まで呼び起こすジブリはやはり半端ない。