公共の秘密基地

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煽りファッション

とあるファッション誌のweb版の記事に、
『冬にサングラスをしないのは、世界で日本人だけだった!?』
という見出しがあったので、ちょっと読んでみた。


太陽の角度がどうのと言う理由から、海外では冬にサングラスをするのは当たり前なんですよという内容で、冬場に似合うサングラスの着こなしなどを紹介していた。


アパレル不振と言われて久しい昨今、増税の影響もあり、さぞかし売り上げが欲しいことだろうが、こんないい加減な記事を書くのは辞めるべきだ。


冬場は太陽の位置がどうこうの理由は嘘ではないだろう。


ただ、外国人、特に欧米人がサングラスをしているのはファッション目的もあるだろうが、目の色素が薄く眩しさを感じやすいからなのだ。


記事ではそのことに一切触れておらず、冬場にサングラスはカッコいいですよ、日本人だけですよ掛けてないのはと言いたげな内容だった。


彼らは生活の中で必要だからサングラスを身に着けているのに、それを無視してあたかも日本人だけイケてないように不安を煽り、モノを買わせるのは結果的に自分たちの首を絞めることにもなる。


外国人のファッションやライフスタイルが日本人にマッチするとも限らないのに、海外の意見は正しいという論調にはうんざりしている。


また、サングラスを掛けてスマホをいじっている欧米人の写真と共に、
『サングラスをちょっと上げてスマホを操作するさりげない動作がオシャレに見えるのも、サングラスのいいところ』
という記者のコメントがあった。


こんなことを言ったら身も蓋もないが、たぶんそれが似合うのは欧米人だからであって、サングラスどうこうは一切関係ないと思う。


日本人で似合うのは舘ひろし柴田恭兵くらいだろう。


毎年毎年よく分からん流行を作り、今年はこれを着てないとダサいという風潮を生み出したかと思えば、翌年にはもう時代遅れになっている。


そんなサイクルに消費者は飽き飽きしているだろう。


ある程度モノの良し悪しや自分に似合う服装を理解できていれば問題ないが、関心のない人は販売員の適当な口車に乗せられて、来年には流行遅れになる服や似合わない品物を買わされる。


買ったはいいけど大して着る機会もなかったり冷静に考えたら似合ってなかったりすることに気付いた消費者は、服を買わなくなるか煩わしさを避けられるネットで購入するのだ。


昔、ノームコアというファッションのスタイルが流行ったことがある。


流行に流されるのはやめて、自分だけの定番を長く愛していこうぜという考え方だったと思うが、そもそもそれをはやらそうとしている時点で本末転倒ではないかと思ったものだ。


当時のファッション誌には、
『ノームコアに使えるのはこんなアイテム!』
という特集が組まれていたが、何が定番アイテムになるかはその人次第で、押し付けるものではない。


スニーカーが定番の人もいれば、革靴を愛している人だっているだろう。


ジーンズが好きな人もいれば、年中軍パンで過ごしている人もいるだろう。


何が自分のベストかは様々な洋服を着てみて、長い時間をかけて分かっていくことだし、別に定番なんて必要なくてそのときの流行を追いかけていきたい人だっている。


結果的にノームコアの流れはシンプルなファッションの勢力を強めたと記憶している。


商売というのは不安を煽ってナンボと言ってしまえばそうかもしれない。


死者が安らかにあの世へ行けませんよと、葬儀業者は高いプランを契約させるし、リクルート業界やマナー業界は勝手に謎ルールを作り、知らないと就活に不利ですよと煽り立てて書籍やセミナーに金を使わせるのだ。


一消費者として、ファッション産業がカッコよく愉快な業界であってくれることを願っている。