公共の秘密基地

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パパ活 ハムカツ 勝海舟

diamond.jp

女性ファッション誌の【Ray】がパパ活指南の記事を掲載して問題になっているらしい。
当該記事は既に削除されているようで、出遅れたことを非常に残念に思っている。
しかし、ファッション誌がこんな女衒みたいなことをするレベルにまで落ちぶれてたんだなあと悲しくなった。


上記の記事によると、Rayではパパ活を以下のように定義しているらしい。

パパ活とは、経済的に余裕のある男性と一緒に過ごした対価として金銭的支援をもらうことです。肉体的関係は一切なく、食事やデートをしてお金をもらいます。

パパ活への抵抗感をなくして、カジュアルかつポップにスケベなおっさんから搾取しちゃおうぜという意図が透けて見えるようだ。
記事の全文は読んでいないので分からないが、「悪いことではないですよ」「みんなやってるよ」と囁いている姿が想像できる。
いくら「肉体関係はない」と定義したところで世間の印象や、パパ活の実態は定義通りではないはずだ。
罪悪感の湧きにくい言葉を用いたところで、所詮は単なる売春でありかつての援助交際と同じである。
何よりパパ活相手の男性に性的な目的がないとどうして言い切れるだろう。
定義通りの安全なお金稼ぎだと勘違いしてパパ活の世界に足を踏み入れて危険な目に遭ったとして、雑誌は責任を取ってくれない。
どうしてパパ活が稼げるかと言うと、リスクのあるグレーな稼ぎ方だからだ。
援助交際だって最初はお茶やカラオケだけなど、肉体関係がなく安心して稼げるという触れ込みだったはず。
それがいつしかセックスありきみたいな風潮になり、援助交際のイメージが低下したことからパパ活に取って代わられたのだ。
やってることはまん延防止措置と緊急事態宣言くらいの違いしかなく、世間から見れば何が違うのかと聞きたくなる。
「大人の関係」とかいう都合の良い言い方をして、賢い稼ぎ方のように喧伝するのはやめてほしい。


パパ活業界に女性が大量に流入すればライバルが増え、競合他社に勝とうと躍起になった女性たちによってアウトレットセールが行われ、援助交際のように肉体関係ありきの言葉が強まるだろう。
パパ活を推し進める謎の勢力からすれば、市場にセックスOKの女性が大量に流れてくることが狙いなのだ。
うまいこと立ち回っておっさんを利用してると思っているパパ活女子は多いだろうが、実際はおっさんをハメているようでおっさんにハメられているのだ。(ふたつの意味で)
普段はおっさんのことをキモいだの何だの言っているかもしれないが、君らが飲んでたタピオカも聞いてる音楽も、おっさんたちが仕掛けて作り出した流行だ。
おっさんはスケベでアホかもしれないけれど、悪知恵が働くので若い男よりもタチが悪いこともある。
嘘か真実かはさておき、こんな話もあるくらいだ。

togetter.com

ueno.link


今回はパパ活をこき下ろしたいのではなく、本題は別にある。
著者が記事の締めとして書いていた記述にうなずくことしきりだった。

少し話はそれるが、Rayのサイトを見ると、「人気記事ランキング」の上位に連日上がり続けているのが、「エッチで『イク』って実際どういうこと? 『イク寸前』って分かるもの?!」など、女性向けの性的情報コラムであることがわかる。
ここに、雑誌コンテンツをweb上で展開する難しさを見る。ビジュアルで見せるファッションやメイク情報は、今やYouTubeInstagramに取って代わられてしまっている。女性誌がこれまでの経験値を生かしてコンテンツ作りをしても、その手間がPVに反映されるかといえばそんなことはない。
結果的に読まれるのは、このような性的なコンテンツであったりする。ファッション性や文化で売っていたはずの媒体が、下世話なコラムの多い媒体に変わっていくのは、たまに見る光景である。

ぼくは趣味で女性ファッション誌のwebサイトをウォッチしているし、yahooニュースなどのニュースサイトにも女性ファッション誌のコラムが上がっているのを見る。
所感だが、non-noやCLASSYのコンサバキレイ目系の雑誌にはそうした下世話な記事は少ないように思う。
コンサバ系雑誌に比べてもうちょいギラギラしたViViやJJあたりになると、下半身ゆるふわ系女子向けのファッションとは無関係のコラムが多くなる。
下世話界の総本山、anan姉さんなんかはその最たるものだろう。
下記にリンクを貼った記事は何かに使おうとメモっておいたものだが、こんなときに役に立つとは思わなかった。

bijinhyakka.com

ファッション感覚でセックスをしていると捉えれば、ファッション誌にセックス指南の記事が載っているのはあながち間違いではないのかもしれない。
着飾るのは他人からよく思われたいからというのもあるだろうし。
しかしながら、ファッション誌が本来の目的を果たせなくなったのは、ファッション誌を見て育った人間としては寂しいものがある。
最近の傾向なのかは分からないが、ファッション誌ってなんかネガティブな情報ばっかな気がする。
「こんなコーデはNG」「こんな髪型はあか抜けない」などの内容に悪意のあるイラストを添えた、不安を煽る記事が多いのだ。
ポジティブな情報よりネガティブな情報のほうが目に付くし訴求力もある。
商品やサービスを売るためには、購入することによるメリットよりも購入しないデメリットを教えたほうが効果的なんだと思う。
今季流行するアイテムを取り上げ、買わないと遅れてると言わんばかりの論調でいるくせに、次のシーズンになったら以前プッシュしたアイテムを時代遅れとして貶めるような記事を書く。
そんなことを何年も続けていれば、流行を追うことに疲れて洋服を買わなくなったり、ファストファッションやプチプラに走ったりする人が増えるのも納得だろう。
ファッション誌ってそれを読んでる人の自由な生き方を応援するものだと思うんだけど、少なくとも今の女性誌は型にはめるような内容ばかりで窮屈で楽しくない。
ファッション情報をビジュアルで見せる役割がSNSに変わった理由は、無料で見られるというのもあるだろうけど、単純にSNSのほうがハッピーだからな気がする。
好きな人のコーデやメイクの情報だけピンポイントで見られるし、同じ趣味嗜好の人と繋がることもできる。
自分たちの価値観を押し付けてくる今のファッション誌は、若い人たちにとってつまらないのだ。


冒頭で引用した記事でも触れられていたので気になって調べてみたけれど、Rayを発行していた主婦の友社は2021年4月にRayの関連事業をITベンチャー企業に譲渡したらしい。
今やRayを発行しているのはそのITベンチャーであって、譲渡された矢先の今回のやらかしということになる。
勝手な想像だけど、ロクに編集会議もしていないんじゃないだろうか。
クラウドソーシングで一文字0.8円くらいのライターに外注した記事をそのまま載っけたくらいの杜撰な印象を受ける。
だってこのご時世に、女性向けの雑誌に「男性を上手いこと使って賢く生きていこうぜ」なんて趣旨の記事を掲載して、問題ないと思うなんておかしい。


メンズのファッション誌では下半身周りの記事は見かけないが、それはぼくが読んでいた雑誌になかっただけであって、きっとギャル男(死語)系の雑誌には多いんだろう。
昔、メンズノンノ「海外旅行で強盗に銃やナイフを向けられた際の対処法」「手りゅう弾が近くに投げ込まれた際のよけ方」が書いてあったのを今でも覚えている。
使うかどうかはさておいて、こういう誰も傷つけないコンテンツをファッション誌には求めたい。