公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

その一言が道となる

もはや感覚が麻痺している人がほとんどだろうけど、飲食店に入って店内や食事の写真を撮影するとき、許可を取っている人がどれくらいいるだろうか。


テイクアウト形式の店でも、席で食べるスタイルの店でも、お金を払ってもいないのに入店したり着席したりするやいなや撮影を始める人がいるが、あれはマナーとしておかしいと思う。


お金を払ったからと言って店内の写真を撮っていいわけではないけど、少なくともその店は自分だけの空間ではない。


他のお客さんもいるし、お店としては撮影してほしくない場所や、そもそも撮影禁止のお店だってある。


いい大人であれば周囲に気を配るのは当然のことで、迷惑をかけたりマナー違反をしてまで映える写真が撮りたいのだろうか。


ぼくがよく行くコーヒー屋さんは非常に静かなお店で、あまり広い店内ではなく座席は10席もない。


落ち着いてコーヒーが飲めて読書ができる空間なので非常にお気に入りなのだが、店内の撮影は禁止されている。


レジ前に店内撮影禁止である旨の張り紙がしてあるのだが、映えれば何でもいいと考えている間抜けはそういった注意書きが見えないらしい。


気付かずに(もしくは勝手に)撮影して、お店の人に注意される光景を何度も見てきた。


このお店に限らず、どこでもみんな当たり前のように店内や注文した品物の写真を撮る風潮のため、写真撮影禁止の店があるなんて考えに至らないのだろう。


本当はそのコーヒー屋さんとしても、もっとデカデカと注意書きを掲示したいだろうが、インテリアにもこだわっているお店のため、それは難しいのだろう。


あいつらとしては映える写真を撮影して自慢したいだけなのだから、コーヒーの味もお店の雰囲気もこだわりもどうでもいいわけだ。


写真が目的なだけのアホのせいで、本当に入りたい人が入店できなかったり、昔からの常連が行きづらくなったりするケースもある。


そんなやつらでも客なわけだから、売り上げになる分にはいいのかもしれない。


ただ、写真が撮れればいいあいつらは、定期的に来店してお金を落とす存在にはなりえない。


今、日本は海外からの観光客が増えていて、『観光公害』なんて言葉が生まれるくらいだ。


この観光ブームは長いことは続かないわけで、言ってみれば今が異常な状況であるわけだ。


海外からのお客さんが多いからと言って、そちらにシフトした商売を続けていれば、世界情勢や経済の悪化なんかで観光客が来なくなったとき、商売が立ち行かなくなる。


まさに今もコロナウィルスの影響で観光地が打撃を受けているらしいが、それがいい例だ。


元々来ていた日本人の客は観光客の売り上げをあてにした商売に嫌気が差し、とっくに離れているため戻ってくることはない。


観光客向けに稼ぐだけ稼いで撤退する分にはいいかもしれないが、そこでずっと商売を続けるのであれば、堅実に稼ぐしかない。


写真映えの客もそれと同じで、あいつらはブームに群がって食い荒らして去っていくイナゴみたいな存在で、媚びても何もいいことはない。


仮に1人2人定着してくれる客になったとしても、その裏で去っていくお客さんが多すぎる。


マナーを守って撮るぶんには店は宣伝になるから問題ないだろう。


別にそんな目くじらを立てることではないのかもしれないけど、写真ってそんなに撮りたいかなって疑問に思うことのほうが多い。


でも結婚式とか旅行とかの写真は撮るし、何が違うんかって言われたらどうなんだろうって気もするのでよく分からん。


とりあえず、周りの見えていない人間にはならないようにしたい。