よく行く洋服屋さんの靴コーナーにある日から、
『靴を試着される際はスタッフまでお声がけください』
という一文が掲示されるようになった。
店員さんに聞いてみたところ、勝手に靴を試着する人がいるのでという予想通りの回答が返ってきた。
靴の量販店なんかに行くと勝手に試着している人をよく見るが、セレクトショップにもその流儀を持ち込むというのがどうも理解できない。
まず第一に、量販店に置いてある靴とセレクトショップの靴では値段が全く違うのに、高い靴だからといって気を遣うという発想はないのだろうか。
驚くべきことに、靴ベラを使わずに革靴を試着しようとする人もいるらしい。
当たり前だが、靴は靴ベラを使わないと履き口の部分が擦れたり潰れたりするので、ダメージの加わりやすい箇所だ。
そういう人は普段から靴ベラを使っていないのだろうが、値段関係なく売り物の靴にもいつも通りの感覚で接する神経が理解できない。
正直、それって駄目なの？と思っている人もたくさんいると思う。
ぼくとしては理解ができないことなのだが、勝手に服を試着したり靴を履いたりする人は何度も見たことがあるので、そういう層は確実に存在していて、しかも少数ではないだろう。
ビジネスマンでも、革靴の紐が緩んでいる人がたまにいるが、あれは脱ぎ履きするときに紐を緩めるのがめんどうだからあの状態にしているのだと気付いて戦慄した。
あそこまで身だしなみに無頓着になれるということが恐ろしい。
ある程度の年齢になると、身だしなみを整えることはもはやマナーである。
オシャレをしろというわけではなく、ちょっとは小奇麗にしとこうねということだ。
他人に不快な思いをさせないようにとか、自分自身が恥をかかないようにとか、いろいろ理由はあるが、身だしなみに無頓着ということは自分の周りに神経を配っていないということなので、靴を勝手に履くという発想に繋がるのだと思う。
身だしなみが整っていないやつは仕事ができなさそうという主張をする人もいて、それには同意できないのは、ぼく自身が身だしなみに気を使っているが、仕事が全くできないからだ。
身だしなみと仕事の出来不出来に因果関係がないか、身だしなみに気を配っているつもりだけど実はそんなことないかのどちらかだと思うが、ぼくは仕事のできるやつに見られたいとは思わないのでどうでもいい。
靴を履くときは靴ベラを使いましょう。
