公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

導かれしものたち

どんなしょうもない人間でも、何かしら秀でている部分や自慢できることがあると思う。


ぼくは基本的にネガティブな人間だが、自分のことはそこまで嫌いではないので、自画自賛する機会はそこそこある。


そして最近も、自分の才能に恐れおののく出来事があった。


とにかくぼくは丸眼鏡が似合う。


マッチする人間が少ないであろうアイテムをここまで自分のものにできるということは、かなりの選ばれし者だと言える。


正直、似合いすぎて避けていた部分はあった。


非常にはまっているが故にコスプレっぽくなりすぎてしまい、昭和初期の作詞家や旧日本軍の兵士みたいに見えるのだ。


しかし数年前、メタルフレームの丸眼鏡を掛けたところ改めて自分のポテンシャルに戦慄してしまい、これを世に知らしめないのは人類の損失だなと思い、丸眼鏡デビューをした。


眼鏡は何個か持っているが、ローテーションをすることはほとんどなく、そのときのレギュラーをずっと掛け続けている。


その眼鏡も気に入ってずっと身に着けていたのだが、購入したお店が店じまいすることになり、細かな掛け心地の調整をしてもらえなくなるので、今は寝かせている。


その後、気分転換に別の丸っぽいフレームを購入し、丸眼鏡とは距離を置いていた。


そして3~4年くらい経った昨年、1940年~50年代くらいのヴィンテージフレームに出会ったことで丸眼鏡熱が再燃したのであった。


当たり前のようにそのフレームを購入し、先日ついにレンズが完成したので受け取りに行ってきた。


掛けてみると、親しみやすさと間抜けさと得体の知れなさが見事に同居している、本当に素晴らしい眼鏡だ。


セルフレームの質感が艶めかしく、光にかざすとキレイな緑色が眩しい。


セルフレーム宮川大輔感がちょっと苦手で避けてきた部分はあるのだが、丸眼鏡に関してはセルのほうが抜け感が出て素敵だ。


古いものなので歴史的に見ても価値があるため、大切に使っていこうと思う。


丸眼鏡が似合う程度で何をそこまでと思うかもしれないが、ノーベル賞ものの発見をしたとか、人命救助に貢献したとかでもない限り、他人は自分のことを褒めてくれない。


また、そんな実績はそうそう成し遂げられるものでもないので、小さいことでも自分を称賛してやるのが内からにじみ出る自信に繋がる。


自分の機嫌は自分で取り、自分の接待は自分でやるのだ。