公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

いやらしさライセンス

とあるファッションビルに行ったとき、女性グループの会話が耳に入った。


1階からエスカレーターに乗り、5階で降りるまでぼくの後ろに彼女たちがいたため、割と長時間会話を聞くことになった。


何でも、そのうちのひとりが彼氏持ちらしいのだが、束縛が厳しめとのことだった。


具体例として、服装への指摘が多いことを挙げていた。


どうも、彼氏は彼女が露出の多いファッションをすることに抵抗があるようで、最近ではオフショルダーの服を着たときに難色を示されたらしい。


ちらっと顔を見たがかわいい子だったので、彼氏としては確かに心配だろうなと思ったのだが、こんな美女に好意を向けられているんだからもっと堂々としとけばいいのになとも思った。


一方の彼女は、
『周りに見せてるつもりはないし、かわいいから着てる』
とのことで、彼氏からのダメ出しを無視する方向で事を進めている様子だった。


女性が言いがちな主張と言うか、自分は『かわいい』と思っていても、周りが自分と同じように受け取ってくれるとは限らない。


こんなグッドルッキングガールが肩を出して歩いてたら、この子の思惑は関係なく男は卑猥な目で見るだろう。


見せてるつもりがあろうがなかろうが視界に入ってくるわけで、『見えて』しまうのだからしょうがない。


そもそも『かわいい』とは、ある程度の年齢になった女性が装備すると性的魅力と結びつくため、正直『いやらしい』と紙一重なところがある。


男と女でかわいいの意味合いが違うとよく言うが、かわいいという言葉の捉え方が違うので、そういったギャップが発生するのだと思う。


男の『かわいい』とは、とにかく見た目のことであり、顔や身体などの目に見えて分かる要素だ。


女の『かわいい』は、雰囲気や仕草、喋り方やファッション・メイクなどの要素を総合したものであり、決して顔に集約されるものではない。


男は顔が良ければ服装はさておきかわいいと評価するし(異性として魅力を感じるかは別)、女は顔が個性的でもその他の項目が自分好みであればかわいいと言う。


かわいいが性的なものに直結するかどうかの違いがあるから、彼女は肩を出すことに抵抗がないし、彼氏は肩を出す彼女が心配なのだ。


そして、彼氏がオフショルダーの服を着る彼女に苦言を呈したのは、自分も街中で女性を舐めまわすように見ていることを自覚しているからであり、彼女が舐めまわされるのをよしとしないからだ。


まあ何にしても肩は出せるうちに出しといたほうがいいし、心配な気持ちはあるうちに表明しといたほうが華なのでがんばってほしい。