公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

ネコネコ先生

実家では猫を飼っているが、出自を辿ると元は捨て猫だったらしい。


妹の友人が拾ったのだが飼えなくて困っているところをうちで引き取ることになり、すっかり家族の一員となっている。


捨てられていたせいか、猫界の常識をいまいち知らないところがあり、自分が猫である自覚に乏しい印象を受ける。


爪を研ぐのも下手だし、名前を呼んだら離れていても駆けつけてくる。


実家の庭に侵入してきた野良猫が威嚇しているのに、呑気に近寄っていこうとする世間知らずなやつだ。


片目があまり見えていないらしく、自分の周囲にある物体の確認は視力でなく、舌で舐めることで行っているようだ。


寝ていると布団に潜り込んでくることがあり、顔の近くで寝ようとするのはいいのだが、自分の寝ようとしているポジションの近くにあるものが何なのかを確認するため、とにかく顔を舐めてくる。


猫の口というやつは仕事帰りのおっさんの100倍くさいので、おっさんよりはかわいい猫であるけど口臭はかわいくない。


もしもこいつが人間だったらかわいいもんだけどなと思うこともあるが、おそらく人間になったところで世間知らずのお嬢様とはいかないだろう。


近代文明に触れることなくジャングルの奥地で暮らしてきて、人間の掟を何も知らず、口がくさい野生児になるのがオチだろう。


もののけ姫のサンだって美少女に描かれているけど、リアルにいたら絶対くさいしムダ毛とかも物凄いに違いない。


そもそもムダ毛かどうかは現代に生きる我々が勝手に決めた基準であり、野生で生きていく上では毛も防御力を高めるための重要な要素なので無駄ではないはずだ。


最近は刀やら戦艦やらを擬人化しているゲームがよくあるが、リアルに擬人化すると身も蓋もないわけで、ああやって美男美女にするのは理に叶っている。