ぼくの通っていた高校は野球部が強く、たまに甲子園にも行っていた。
あくまで県内で強いだけだったので早々に一回戦で負けていたが、それでも甲子園出場となると地元はお祭り騒ぎで、全校を挙げて応援に繰り出していた。
一般的に体育会系は礼儀正しいと言われ、上下関係をきっちり守り、メンタルも強い(らしい)ことから就活においても有利だとされている。
うちの野球部はとにかく態度が悪く、監督や顧問・先輩などにはきちんとしているが、後輩や野球部外の人間には横柄な態度で威張り散らしており、世間で言われている礼儀正しい体育会系ではなかった。
なまじ実績がある分、本人たちも増長しており、謙虚さの一片もなかった。
所詮は高校生でただの子供なので、彼らが自分たちのことを特別だと思っていた感情は思春期特有の無敵感と合わさって、傍から見ていると本当に不愉快で物凄い嫌悪感だった。
特にあいつとあいつが嫌いだったので、何でこいつらのために暑い中遠路はるばる応援なんぞせないかんのかと思っていた。
高校野球は今でも興味がないが、たまに見ることがあると部員が眉毛を剃っていないほうの高校を応援するのは当時の反動だ。
体育会系へのマイナスな感情は進学しても続き、大学に入ってからも運動部連中の傍若無人な態度にはうんざりさせられた。
高校と違って部活の数も多く、何の興味もなかったが実績のある部もいくつかあったようで、その界隈ではさぞかしちやほやされるだろうが、一歩外に出るとお前らのことなんか誰も知らん。
脳みそに反比例して身体が大きくなったような人間ばかりで、あれはもう犯罪者予備軍だった。
とにかくぼくの中で体育会系のイメージは最悪だ。
あいつらが上下関係を大切にしているように見えるのは、「自分たちが苦しい思いをしたからお前らもしろ」の精神であり、「自分たちの思いを後輩には味わってほしくない」ではない。
先輩になると理不尽なことをしてもいいとはどういう曲解なのだろうか。
我慢こそ美徳みたいな考えは非常に嫌いだし、自分らだけで完結するのならまだしも、そういう環境で育ってきたやつが人に指示する立場になったときに周囲に強制するのも不愉快だ。
スポーツをやっていた友人は何人かいるし、とても気のいいやつなので体育会系が全員クズだとは言わないが、爽やかで礼節をわきまえているというイメージが先行するのもどうかと思う。