公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

おかねかえして

弊社には年に3回くらい、休日出勤で参加する行事がある。


基本的には強制参加で、断ると社長の機嫌が悪くなる。


飲み会とか社員旅行とかではなく仕事っぽい内容なのだが、社員のモチベーションも低く、必要とは思えない。


無駄で不要としか思えん行事が続いているのは社長の自己満足としか言い様がないが、弊社は社長以外に役員はおらず、典型的なワンマン経営なので誰も物申すことができない。


ぼくも先日初めて参加したのだが、会社で行われるわけではなく別で会場を借りているため、いつもとは違った駅で降りなければならない。


普段の駅から乗り換えて一駅なので距離は大したことはないが、定期の区間外なのでそのぶんは自腹で払った。


後日、交通費を精算しようと思い申請をすると、上司に注意された。


何でも、その行事のために払った交通費は精算できないそうだ。


休日出勤した見返りをよこせと言っているわけではなく、使ったぶんを返してくれと要求しているだけなのに、なぜそれだけのことが叶わないのか。


年間で3回はある行事のため、毎回自腹を切っていたら一駅分とはいえ往復の交通費もバカにならない。


お前が来いと言ったから貴重な休日を犠牲にして来てやったのに、その態度は何かね。


世の中にある楽な仕事は権力のあるやつか頭のいいやつに取られてしまっているため、凡人であるぼくはせめて、社員を大切にしてくれる会社で働きたいと思う。


しかし、後藤隊長が言っていたように、『資本家の夢とは給料のいらない従業員』なのだ。


気に喰わんのなら辞めればいい話で、もちろんぼくもそうする予定だが、労働者を人とも思っていないブラック企業がのさばるのは、転職回数が多いと就活市場では不利になると言われていることが一因だろう。


統計があるのかは分からないし、ぼく自身もそういった風潮を肌で感じたことはない。


だが、新卒一括採用や年功序列、終身雇用がまだまだ当たり前の世の中で、レールから外れた人間は悲惨な結末を辿るのではという強迫観念が労働者を臆病にしている。


辞めたら生活できないとか次がないとか、職歴に傷が付くとかを気にして、ろくでもない労働環境に甘んじてしまう。


労働者の善意と悲愴感を喰らい続け、ブラック企業は生き永らえているのだ。


辞めたって生きてれば何とかなるし、まあぼくは何とかなってないが、クソみたいな大地の肥やしになってやる必要はどこにもない。


交通費の件だけで会社をここまで批判しているわけではなく、他にも理由はあるのだが、そのあたりは退職してから書くことにする。


とりあえず、会社を辞めて退社した瞬間の解放感をぜひとも味わってもらいたいので、あの気持ち良さを感じるためだけでも辞める価値は充分にある。