『大人になるってことは、近づいたり離れたりを繰り返して、お互いがあまり傷つかずに済む距離を見つけ出すこと』
と、ミサトさんが言っていた。
昔はシンジくんとタメだった気がするが、今はミサトさんより年上になってしまった。
ここ何年も使われている言葉で、もう聞き飽きたものが
『若者の○○離れ』
というやつだ。
最近の若者は金を使わないらしいので、ブームを仕掛ける側としてはやりづらいようだ。
群がっていたのは今のジジイどもで、そいつらと比べて購入していないからといって勝手に離れたことにされてはたまらん。
昔は娯楽も少なくて簡単に扇動できたかもしれないが、今は趣味嗜好が細分化され、本当に必要なものを求めた結果だとも言える。
一方で、老後は何千万の貯金がないと下流老人まっしぐらだとか、年金がもらえなくなるとか、将来を悲観させるようなニュースもよく耳にする。
将来への不安を駆り立てておいて、かたや金を使わない若者を年寄りの価値観で否定する。
こいつらは金を使ってほしいのか使ってほしくないのかどっちなのだろうか。
無責任にもほどがあるし、消費してほしいんならまず金をくれ。
そりゃこんだけ世間に閉塞感がある中で、若いからというだけの理由で無意味な消費をする気にはならんでしょう。
最初のミサトさんの話とうまいこと絡めていい感じで締めようと思ったけど何も思いつかなかった。