公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

ドズル・ザビ 誤解される

嫌いだけどもついついしてしまいがちなのが「古参アピール」だ。
「自分は前からこれのファンだった」というやつである。
流行ってるものについての先見の明をアピールしたくなるのはすごくよく分かるが、自慢されているほうはうっとうしいことこの上ない。
ぼくもやりがちなので気を付けなければと思っている。


ぼくが「いっちょかみこたつ記事メディア」と呼んでるアニメ・漫画系のwebサイトがある。
先日はこんな記事をアップしていた。

magmix.jp

鬼滅の刃原作未読組の感想を取り上げ、以前から原作知ってましたと言わんばかりの謎マウントを取っている。
『原作未読組の感想がじわじわくる』って、初見の人間を完全に馬鹿にしてかかっているわけだ。
このサイトみたいに話題になってから飛びついたやつに言えたことかと白々しい気持ちで眺めている。
どうせこいつらも、ジャンプ掲載当初から鬼滅に注目していたわけではなく、アニメが話題になってからよだれを垂らしてすり寄ってきた輩だ。
鬼滅のアニメは放送当初、原作ファンやアニメ好きからは注目されていたものの、ここまでのブームにはなってなかった。
コロナ禍で自宅にいる時間が増えたことで動画配信サービスの需要が高まり、その中で鬼滅もアニメ終了間際か終了後に広く知られることになったと記憶している。
というか連載当初から知っていようが、マウントを取る理由にはならない。
普段アニメや漫画を見ない層にまで広まったからこそ、ここまでのブームになったのだ。


このサイトは最近だと最終回を迎えたゴールデンカムイ、映画化されたオッドタクシーなどの記事がいっちょかみで増えている。
ところがロクに調べもせずに書いているので穴があるのだ。

magmix.jp

この記事ではゴールデンカムイ最終巻の30巻が6月に発売されると書いているが、最終巻は31巻で7月発売である。
「最新巻」「最終巻」を間違えたのか、本当に最終が30巻だと思っているのかは定かではない。
誤字だったとしても全然違う意味になるわけだからきっちりチェックすべきだし、最終巻が何巻であるかも調べれば出てくるのだからどっちにしても見過ごせない。
このサイトを叩こうと思ってわざわざミスを探したのではなく、たまたま見かけた記事でこの体たらくだ。
シビアな視点でひとつひとつの記事を読んでいけば、もっと粗が見つかるだろう。
上記のミスはこのブログ公開現在(2022年5月2日18時)でも修正されていない。
もっと言えば、漫画を紹介するのなら「既刊」とか「完結」とか付け加えるべきだ。
「全○○巻」という書き方では完結したのかと誤解されてしまう。


アクセス数を稼ぐ必要がある以上、多くの人に見てもらえるような内容にするのは当然で、みんなが知っている作品について記事にするのは理解できる。
なので、メジャーどころばかり取り上げていることに文句を言うつもりはない。
ぼくがこのサイトをここまで毛嫌いしているのは、基本的に「わかってない」からなのだ。
例えば、ガンダムについて書かれた記事での前科がある。

magmix.jp

『初見で震えたモビルスーツ&アーマー』としてガンダム各作品に登場した機動兵器を挙げているのだが、ビグザムについて書かれた内容に問題があるのだ。
パッと見どこがおかしいのか分からないだろう。
なぜなら、この記事には修正が入っているのだ。
こんなこともあろうかと修正前の記述をコピっているので、修正後の内容と合わせてぜひ見てもらいたい。


【修正後】

戦況が連邦側に有利となった終盤、背水の陣で切羽詰まったドズルがビグ・ザムに乗り込むと、連邦MSや戦艦など抵抗する術もなく圧倒。連邦パイロットも恐怖で呆然とします。

【修正前】

戦況が連邦側に有利となった終盤、背水の陣で切羽詰まったドズルがビグ・ザムに乗り込むと、見境なくビーム砲を斉射。敵だけではなく味方のザクやソロモンを焼き払う鬼畜ぶりは怖すぎます。

全然違うのがお分かりいただけたと思う。
決してこのサイトを貶める意味で捏造したのではなく、本当に書いてあった内容だ。
大前提として、ドズルがビグザムに搭乗して無差別攻撃を行った事実はない。
ライターはガンダムを見たことない可能性が濃厚であり、一体何を参考にして記事を書いたのか疑問だ。
ガンダムを一度でも見たことがあれば、ドズルが怖い顔の割に愛妻家で子煩悩で家族思いで部下思いなのはアホでも分かるからだ。
そもそも、ドズルがビグザムで出撃したきっかけは、ビグザムをソロモン内部で運用するのは味方の損害が激しいと判断したためである。
(『こいつが強力なのはいいが、このままでは基地の損害も馬鹿にはならん。』と明言している)
その後、ソロモンを放棄するにあたって残存戦力が撤退する時間を稼ぐために、連邦の主力艦隊に特攻をかけたのだ。
何なら、特攻前に同乗していた部下に脱出するよう勧め、ひとりでビグザムを操縦していた。
こんなことをする男が、自軍の基地や味方を焼き払うような真似をするだろうか。
司令官が真っ先に逃げずに、軍隊の殿を務めるなんて最高にカッコいいではないか。
そりゃ流れ弾に当たったやつはいたかもしれないが、少なくとも記事にあるように誰彼構わず焼き払った事実はない。
『切羽詰まった』という表現も違うと思うし。
というか、ドズル出撃の経緯はネットで検索すればいくらでも出てくる。
ライターはwikiすら参照しておらず、ドズルの顔だけ見てこいつは悪い奴に違いないとイメージで記事を書いた可能性もある。


あとは、エヴァについて何にも分かってないと思ったこちらの記事。

magmix.jp

まず、シンジくんを一概にヘタレと断定するのは異論がある。
今までのロボットアニメ主人公が異常に前向きだったり環境適応能力が高すぎただけで、一般的には普通の反応だと思う。
久しぶりに会う父親に呼ばれて仕事場に行ったらよく分からんロボットに乗って戦えと言われて、はいそうですかと受け入れられるだろうか。
今まで気さくに接してくれていたので味方だと思っていたミサトさんを助けを求める目で見るも、彼女も父親側の人間だったのでかばってはくれなかった。
この場にシンジくんの味方は誰もいないのである。
『物語の主人公であるならば、人類のために少しは前向きに考えてみてもいいはず。』って、視聴者目線で言うなよ、シンジくん目線で言えよ。
シンジくんは自分のことを主人公だと思っているわけでもないし、この時点では初号機のパイロットだと自負しているわけでもない。
どんなメンタルしてたらそんな状況で「人類のため」なんて思えるだろうか。
普通は自分のことしか考えられないだろう。
ロボットに乗ったことないので知らんが。
長くなるのでこのライターが他にもヘタレとしているシンジくんのエピソードについての言及は省くけど、情けないと断定できる内容でもなかった。


まあエヴァに関しては解釈違いもあるだろうが、ガンダムに関してはなぜ修正前の内容があんなだったのかライターに聞いてみたい。
解釈違いでなく完全な誤りなのだから。
ガンダムはアニメだけでなくゲームや漫画等も多数あるので、本編を見ずにそれらの知識で大雑把にストーリーを理解した可能性がある。
件のライターは他にもガンダム関係の記事を同サイトにあげているようだが、きちんと作品を見て書いてほしい。


『人は分かり合えるか』というのがガンダムという作品のテーマだと勝手に思っている。
ところが、ガンダムファンは好きな作品で当人の人格を否定したり、新作をこき下ろしたり、常に喧嘩をしている。
ガンダム好きな人たちが一番分かり合えていないわけだ。
最初はみんな初心者なので、ニワカだの何だの心の狭いことを言うつもりはない。
だけど、バレないと思っていい加減なことを書くとすっ飛んでくる人がいるので注意したほうがいい。