公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

おもてなしの呪い

出張で上海に行っていたので、こんなときにブログの予約投稿機能というやつは便利である。


海外自体が15年ぶりくらいだったため、空港での出入国の手続きがてんやわんやだった。


友達同士で行っているならともかく今回は仕事であり、同行した職場の人に迷惑をかけるわけにもいかず、アホがバレないようにするのが大変だった。


職場には親切な人が多いので、素直に『知りません・分かりません』スタンスでいけばみんな割と教えてくれるよなと後で気付いたので、変な見栄を張るものではなかった。


現地ではホテルの宴会場で食事会があり、スタッフは中国人なのだが、宴会も後半になると給仕する料理もなくなり、壁にもたれてダルそうにしているのが印象的だった。


参加しているこちらが既にダルかったので、仕事とは言えスタッフの気持ちも分かる。


日本の接客は丁寧でサービスが行き届いているというが、モンスタークレーマーなんて言葉もあるように、逆に呪縛となって労働者を苦しめている。


コンビニの店員に愛想がないとキレる年寄りを見たことがあるが、コンビニの接客に何を求めてんのか分からんし、愛想をよくして給料が上がるなら店員だってやっている。


宅配や公共料金の支払い、各種電子マネーへの対応など、コンビニは業務量が以前とは比べ物にならないくらい増えている。


昔より世の中は便利になったかもしれないが、それに伴って仕事の量も増大しており、利便性を求め続けた弊害が現れている。


便利さも欲しいが価格は安くなくてはいけないし、更に愛想の良さも求めだしたら働く人がパンクしてしまう。


コンビニに限らず、みんながサービスの利用者であると同時に労働者なのだから、お互い様の精神を持って寛容になるべきだと思う。


上海での宴会時は中華料理屋によくある回る円卓だったのだが、食べてる最中にスタッフのおばさんが中国語でなんか喋り掛けてきたので、適当に受け答えしていたらまだ食べ物の残っている大皿を下げられてしまった。


と思ったら残ってる料理を小皿に取り分け直して持ってきてくれ、その分の空いたスペースに新しい料理をサーブしていた。


愛想とかいう曖昧なものを求める人種からすれば、日本人の客に中国語で話し掛けた挙げ句、勝手に料理を持っていくとは何事だとなるかもしれない。


だが中国人のおばさんは仕事をきっちり果たしたわけだし、ぼくからすれば何の文句もなかったしむしろ文化の違いを感じておもしろかった。


海外に行った人は、現地の接客が緩いと感じることがほとんどだと言う。


レジもだらだらしてて他の従業員と喋りながらやるので行列ができることも当たり前で、百貨店とかのそれなりの店に行かないと店員のサービスも悪いと友人が言っていた。


海外の話は極端な例かもしれないが、24時間営業の店でお客さんがいないときでも店員が立ちっぱなしとか、電車の運転手が停車中に水を飲んでいるだけでクレームが来るという日本の話も極端だし、そんなことに文句をつけるやつは世直しでもしているつもりなのだろうか。


結局、自分が客で立場が上だと思っているから、抵抗できない人間にはとことん強気で残酷になれるだけなのだ。


どこまでを不快と感じるかは人それぞれなので線引きが難しいが、もう少し他人に寛容になることも必要だと思う。


どうも、優しくしたら損で弱みを見せたことになると思っているような人種が多いので困る。