公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

青春の温度

高校生の頃、自転車通学をしていた。


ある日、中学の同級生とたまたま会い、彼も自転車で通っていたので一緒に帰ることになった。


久しぶりに見る彼は右手で自転車のハンドルを握り、左手をだらりと下ろして、ダルそうに運転していた。


わざわざ突っ込むことでもないが、何とも香ばしいにおいがしたので、無粋だとは思ったがどうしてそんな自転車の乗り方なのかを彼に訊ねた。


彼はぶっきらぼうに「なんとなく」と言ったが、その自転車の乗り方がなんとなくでないことは、彼はもちろんぼくも分かっていた。


若い頃は不真面目なことに憧れたり、気だるいことというか、全力投球はカッコ悪いみたいな思考になりがちなので、当時の彼のドライビングスタイルは自然なことのように思う。


最近、スポーツタイプの自転車で背筋を伸ばし気味でサドルにまたがり、両手はハンドルを握らずに身体の横に沿うように下げて運転している人を見かけるが、何であんな乗り方をしているのか以前から疑問だった。


ぼくはああいう自転車には乗ったことがないので分からないが、前傾姿勢で乗り続けるのはしんどいから理にかなった乗り方なのかもしれない。


でも単純に危ないし、あの乗り方はカッコつける方向性を間違っているなあと感じていた。


そういう乗り方をしている人に限って片手運転をしていた友人のように、「なんとなくやってるだけですけど?」みたいな顔をしていておもしろい。


自転車レースの大会でもやっているのを見たことがあるので、たぶんメジャーな行為なんだろう。


あと、自転車の前カゴにスマホを入れ、大音量で偏差値の低そうな音楽をかけて走っている若い子がたまにいるが、ああいう子が数年後、イカ釣り漁船みたいなライトをビッグスクーターにつける割合を調査してみたい。