公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

不安を煽る商売

ちょっと前まで転職活動をしていた。


就活は久しぶりなこともあり、いくつかの転職サイトに登録し、サイトの転職活動ハウツーみたいなコンテンツを参考にさせてもらっていた。


読み物をいくつか見たり、転職活動を続けていくうちに、やっぱり求職者と企業は平等ではないなと痛感した。


例えば、履歴書等の各種書類を郵送する際のマナーについて書かれているコンテンツがある。


宛先は個人の場合は『様』、部署の場合は『御中』を付けるといった、邪魔くさいがまあぼくでも知ってるレベルのものから、封筒は白にしようとか切手の貼り方にも注意しようとか、無駄としか思えないような内容もあった。


しかし、求職者にこれだけ過剰なマナーを要求しておきながら、その後の対応が決していいとは言えない企業も山ほどあった。


ぼくはいつも応募書類はクリアファイルに入れ、書類を折らずに入れられるサイズの封筒を使用していた。


残念ながら縁がなかった場合、応募書類が返却されるわけだが、書類を三つ折りにして返送し、クリアファイルはしっかり着服する企業が割とあった。


ファイルや履歴書に貼る写真代だってバカにならないのだから、再利用したいのにそういった企業のせいで痛い出費をするハメになった。


もっとナメているところは『合格した場合のみ連絡をし、不合格の場合は連絡をせず、書類も返送しない』というところだ。


それは人としてどうかと、忙しいだろうしコストを削減したいのも分かるが、礼には最後まで礼で応えろよとイラッとした。


その求職者とは縁がなくても、将来の顧客になる可能性もあるのだから、愛想良くしておいて損はないと思う。


また、面接時のマナーについてのハウツーでは、『有休の取りやすさなどはあまりしつこく聞かないようにしましょう』というものがあった。


アホか。気になることを質問して何がいかんのか。知りたいことをなあなあにして、入社後にギャップを感じて早期離職されることのほうがよっぽど無駄だろうが。気心の知れた人間ですらしっかりと言葉に出さないと伝わらないことも多いのに、初めて会ったお前らのことなんか何も知らんわ。それを察してくれとかお前は貴族か。


どうも中途採用者の就活は『これくらいはまあ暗黙の了解で分かってくれるよね』みたいなことが多く、私のことが好きなら察してよ的なめんどくさい女性のようなスタンスだった。


『企業の求める「即戦力な新卒」とは、童貞の求める「床上手な処女」と同じだ。』
みたいな話を聞いたときは感心したものだが、企業とは拗らせた童貞とめんどくさい女性の二面性を併せ持ったあしゅら男爵のような存在らしい。


内定を辞退される企業の嘆きとか、採用にまつわる苦労も載っていたが、お前らの苦労話なんか知らんし、肝心なところを明確にしなかったら誰も来てはくれんだろう。


まあここまで企業の文句を書いてきたが、就活生に過剰なマナーを要求しているのは求人をかけている企業というより、求人サイトを運営している会社だったりする。


ノックの音は2回だとトイレのドアをノックするときの回数なので3回にしましょうとか、『了解しました』は失礼にあたるから使わないようにしましょうとかの謎マナーを勝手に作り、不馴れな採用担当者が鵜呑みにして世間に蔓延していくのだ。


女性はヒールのついた靴で歩き回るのしんどいだろうに。


ちなみに、はてなブログの運営企業にも応募したけど書類選考の段階で落ちました。