寒くなってきて、街着としてマフラーやコートなど冬物衣料が登場するようになると、くさい人も出没するようになる。
夏の分かりやすい汗臭さと違い、地の底から沸き上がってくるような、湿度が高く皮膚にまとわりつくようなにおいを放っている人が冬になると現れる。
人の多い電車内だと逃げられないので余計にタチが悪く、顔を背けた程度では鼻孔への侵攻を防げない。
まず、ああいう人は冬物衣料を洗濯しないのだろう。
コートもマフラーも同じものをシーズン中に着倒して、暖かくなるとクリーニングに出さずに収納し、次のシーズンにそのまま身に付けるのでにおいがどんどん蓄積されていっているのだ。
特に綿などの天然繊維はにおいが染み付きやすいので、パーカーやスウェットを着ている人はちゃんと洗濯してほしい。
また、これは少数派だと思うが、夏場に比べて汗をかかないので風呂に入っていない、もしくはしっかり体を洗っていない可能性もある。
ある程度の年齢になるとにおいケアもひとつのマナーなので、香水をつけろとまでは言わないけど、身に付けているものは洗濯して、朝にシャワーを浴びるだけでも違ってくると思う。
においと言えば、ぼくは常々『くさい』と『におい』に『臭』という同じ漢字をあてたやつにどういうつもりなのか聞きたかった。
『臭い臭い』と書かれると、『くさいくさい』なのか『くさいにおい』なのか分からないので、本当にきっちりしてほしい。
『匂』 という漢字もあるけど、これの訓読みである『におい』は2010年に常用漢字に採用されたらしい。
漢字のことを考える偉い人らは何十年も一体何をしていたのだろうか。
古いOSのパソコンを使うと、『匂い』で文字変換した際に常用外と表示されることもあるので、臭さへの対応は確実に後手だったと言わざるを得ない。
それでなくても『匂い』という漢字はなんとなくいいにおいのときに使いたいので、イメージが固定されてしまった感はある。
こないだヴィンテージの超カッコいいコートを購入し、雰囲気的にも嗅覚的にもかなりの古着臭を放っていたが、このにおいは歴史の積み重ねなのでOKとする。
この違いが分からんやつは知らん。