公共の秘密基地

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あなたの完璧はいつだった?

今日の話とは関係ないけれど、多くの人に知って読んでほしいので書く。
4/28発売のヤングジャンプをもってゴールデンカムイが完結することが発表された。
それを受けて、4/7~4/28の期間でヤングジャンプ公式アプリ、もしくはヤングジャンプのweb版『となりのヤングジャンプ』で全話無料公開している。
まだ単行本になっていない本誌掲載分も読めるので、最終話まで一気読みが可能なのだ。
ゴールデンカムイは昨年も無料キャンペーンをやっており、かなり太っ腹である。
無料公開に際しての作者コメント曰く、『一度無料で読んで頂いたとしても単行本を集めて何度でも読み返したくなる作品だという自信がある』とのことで、とてもイカしたカムイ対応だ。
実際に本当に面白いし、前回の無料公開時にも二周ほどさせてもらった。
『みなさんと一緒に最後を迎えたい』なんて熱い野田サトル先生の想いに応えるためには、この作品をひとりでも多くの人に布教して読んでもらうことだ。
ぼくも単行本を買うかどうか本気で悩んでいる。
知らなかった人も気になってた人も、この機会にぜひどうぞ。

ynjn.jp


では本題。
4月初旬、学生の多く住んでいる街を闊歩していたときのこと。
その日はえらくスーツ姿の若者をよく見るので、もう次年度の就活を解禁してるんだろうかと思っていた。
ところがよく見るとみんな大学のロゴマークが入った袋を持っていたので、どうにも入学式帰りであるようだ。
一人の子もいれば、複数で行動している子たちもいる。
ぼくらの頃にはなかったSNSが当たり前になった彼らは、入学前からグループを作っているらしい。
まあ正直、ああいうひとりでいることを避けるための友達はそのうち連絡を取らなくなる。
友達を作った目的が不安の解消のため、周囲から浮かないため、他人から奇異の目で見られないためであるから、サークルなり同じクラスなりで仲間ができれば仮の友人は不要になる。
気持ちは分からんでもないけど、ひとりでいるということについて過剰なまでにビビりすぎなのだ。


若者についていまいち分からないのはぼくだけではないようで、ポータルサイトに定期的に登場する若者分析・定義系の記事を見ては眉唾物だなあと思っている。
下記の記事はそれぞれ違う著者だが、ふたつとも若者のアニメや映画やドラマコンテンツに対する接し方について書かれたものだ。

gendai.ismedia.jp

gendai.ismedia.jp

ひとつめの記事にある『ネタバレ許容派』は別に若者に限ったことだけではないと思う。
友人にも数人いるし、結末を知ってても過程を楽しめるという人もいる。
こないだジャンプ+にもそんな読み切りが載っていた。



『ネタバレ消費』の記事にある20代の意見によると、「ハズレを引きたくない」「最短距離で自分の好きなものとマッチングしたい」という心理があるのだそうだ。
これはふたつめの『失敗したくない若者たち』に通じるものがあると思う。

彼らは拠りどころが欲しい。個性的でありたい。その結果、オタクに憧れる。カルチャーシーンから“メジャー”が消え、ゆとり教育のなかで「個性的であれ」と言われて育った若者たちがそうした傾向をもつことは、まあ、理解できる。
ただ、彼らはその“オタクになる過程”を、「なるべくコスパ良く済ませたい」と願う。「観ておくべき(読んでおくべき)重要作品を、リストにして教えてほしい」と言う。

そんなもんオタクじゃないよって言いたくなるし、そもそもこういう若者が本当に多数存在するのか疑問ではある。
『失敗したくない若者たち』の人が書いた別記事によると、今の若者はLINEグループで四六時中繋がっていて、そのグループの中である作品を勧められたら共感のために見なければならないそうだ。
しかも所属しているグループはひとつではないため、各々のグループで勧められた作品を見る必要があるので時間が足りないとのこと。
オタクになるための作品をチェックしつつ、グループ内の人間関係を維持するための作品を見ていればそりゃ忙しいことだろう。
なのでネタバレや話の要約を見て結末だけでも知っておきたいと言うのは理にかなっている。
SNSネイティブ世代はそうなのかと思いつつも、本当にそんな人間がいるんだろうかと思ってしまう自分もいる。
なんか、『Z世代』とか言ってカテゴライズしてるけど、ちょっと大げさに言いすぎな気もするのだ。


ぼくが年を取っただけかもしれないけど、若者はみんな同じようなファッションだし、流行りに回れ右だし、SNSに上げている自撮りは似たような顔面加工をしている。
個性的になりたいとか言ってる割にはみんなと同化したがってるように見えるのだが、若者分析家に言わせればどちらが本当の若者なのだろうか。
付け焼刃でもその場しのぎでも、まずは外見からいじることが目立つ近道ではある。
それとも、目立つが故に外見だけは所属しているコミュニティと同化したいのだろうか。
外見は見ただけで分かるが、内面は自分から表明しないと他人には分からない。
周囲から批判されず浮かない程度のオシャレをしつつも、中身はガチガチのオタクという生き方が理想なのかもしれない。
際立った個性を持っておりその分野のエキスパートではあるけれど、一見するとどこにでもいる人で、コミュニティの輪を大切にして同じ価値観を共有し、決してでしゃばらない人みたいな。


手っ取り早い解決はあれだ、ゴリゴリのオタクグループに所属したらいい。
オタクになるための作品と、グループ内で共通の話題となる作品を勧めてもらえる一挙両得だろうし。
だけど、彼らが所属したいオタクグループってスタイリッシュでオシャレな人たちが集うコミュニティでないといけないんだろう。
イケてないオタクグループに属してしまったら周りから変な目で見られるからだ。
芸能人だったりアニメや漫画の登場人物みたいに、オシャレで容姿の整ったオタクなんて全体の一つまみでしかないのだ。
実際、本当に個性的な人間ってぱっと見では近寄りがたいことが多いし、人によっては気持ち悪いとさえ感じるような人である。
その点、個性の際立った狂った人間ばかりが登場するのに話が成立しているゴールデンカムイってすごい漫画ですね。