公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

美波ちゃんはそんなこと言わない

日本には言論の自由があるので、相手を中傷したり公序良俗に反したりというように罪に問われなければ基本的に何を言ってもいい。
【男性に第一印象で対象外判定される女性の言動】【女子が"無理!"となる男子のファッション(>_<)】みたいな毒にも薬にもならないコラムは、男性向け女性向け問わずちょっと探せばいくらでも見つかる。
こんなアンケートはいかに自分を棚に上げて回答するが肝なので、面の皮の厚さが重要になる。
いくら自分が無職で不細工で処女しか認めない男性であっても、ブスでデブでバカなババア女性であっても、理想を語るだけなら自由だ。
「自分みたいなのがこんなのに回答するのはおこがましいんじゃないだろうか」という気持ちは捨てて、思う存分夢を語るといい。


【男性のショートパンツは是か否か】というトピックは、全国中学・高校ディベート選手権(通称・ディベート甲子園)でもテーマになったとかならないとかの根深い問題である。
ぼくはショートパンツを浜辺美波の次に愛しているので、男性がショートパンツを履くことは"是"である。
20代半ばから数年間、ショートパンツが好き過ぎて、真冬でもショートパンツで過ごしていたことがある。
クローゼットの中はスーツ以外全てショートパンツで、いざロングパンツに移行しようと思ったときにパンツの球数がなかった。
また、ロングパンツを履く自分にしばらく経っても慣れず、ファッションに違和感を抱き続けるショートパンツ禁断症状が出たこともある。
そう考えると、さすがにあれはやりすぎだったと思うところもなくはない。
ちなみに、年中ショートパンツで過ごしていると、身体の防衛反応が働いたのかすね毛が濃くなった。


好きな洋服を買って着用したいから、日々のしんどいことやめんどくさいことにも耐えられるわけである。
着たい洋服を他人の意見で着なくなるほど馬鹿なことはない。
今は何かに関する世間の評価をインターネットで簡単に調べることができる。
男性がショートパンツを履くことに関する意見も、賛否問わず様々なものが見つかるだろう。
しかし、その意見はどこの誰が言ったのかも分からないものだ。
リュックにアニメキャラの缶バッジを鱗のように付けていたり、毛玉だらけのアウターを着ていたりするような、センスも清潔感もない女性が「男子のショートパンツはありえない」と言っているかもしれないのだ。殺意が湧く。
君らは自分の好みや直感より、どこの馬の骨とも分からん怪物の意見を信用するのか。
もちろん、アンケートに答えたのがブスではなく美人である可能性もあるが、容姿の美醜によって意見の重みが変わることはない。
美しい人間には他人の好みを否定する権利があるわけでもない。
何ならそのアンケート結果だって、実施元の都合のいい意見しかピックアップされていない可能性だってある。


男女関係なく、"何を言うか"よりも"誰が言うか"が重要なこともある。
ただ単に【異性】に言われたというだけで、自分の好きなものを捨ててしまうことほど間抜けなことはない。
好きなものについて圧倒的自信を持っている人も多くはないと思うので、揺らいでしまうのは仕方のないことだ。
ひとまず、真冬でもショートパンツを履き続けてみるように、周囲から見たら過激と言われるくらい好きなものに傾倒してみたらどうだろう。
どうでもいい意見は雑音にも等しくなるし、何より楽しい。
人目を気にする人間には【異性】が言っていたという決まり文句は刺さりやすいのかもしれないが。


ちなみに、ぼくはショートパンツを履き続けた結果、ちょっと飽きてしまって今は夏場でも履かないこともある。
でも、おそらく一生好きなアイテムだと思うので、何年か経ったらまた着用するだろう。
さすがに大人としてTPOは守るべきだと思っているので、ドレスコードのある場やかしこまった席で着ることはないが。
浜辺美波に一生ショートパンツを履かないでと頼まれたら今のぼくならどうするだろうか。
折衷案として、浜辺美波にぼくのショートパンツを履いてもらうということで落ち着きそうだ。