公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

大親友のパスタの俺

湘南乃風の【純恋歌】ほどインテリジェンスを感じない歌も珍しい。


大学生の頃、爆発的にヒットし、ウェイ系(当時はそんな言葉なかった)の学生はこぞって聞いていた。


ぼくはとりあえずああいう見た目の人には嫌悪感があるので、いくら慈善活動的なことをしていても、
心根が優しくてもルックスでシャットアウトする。


申し訳ないが、ハロウィンで先頭に立って騒ぐような見た目をしていて、見た目で判断するなという方が無理だ。


ただ、湘南乃風のメンバーは高学歴の人もいると聞いたことがあるので、
もしかしたらビジネス的にやっているだけかもしれない。


ああいう人らが歌っているため、ファンもああいう人らで、曲もそんな感じの内容になる。


もうまず、歌の冒頭からすごい。
大親友の彼女の連れ おいしいパスタ作ったお前】
【家庭的な女がタイプの俺 一目惚れ】


「お前」だの「女」だの、"俺"の男尊女卑的人生観が垣間見えてしまう。


物事を深く考えることがなく、条件反射で人生を歩んできたのだろう。
歌詞のカタコトさも相まって
『オレ パスタ スキ』となるような原始人的思考で動いていると思われる。


というか一目惚れって言葉通り一目見て好きになることだが、
"俺"は大親友にどういうシチュエーションで"彼女のツレ"を紹介されたのだろう。


何者かが作ったパスタを食しているときに『パスタを作ったシェフです』的に
"彼女のツレ"が登場して、一目惚れしたのなら辻褄は合うが、それだと歌詞の時系列が合わないので、
【おいしいパスタ作ったお前が大親友の彼女のツレで一目惚れ】になるはずだ。


歌詞通りに考えれば、紹介された後でパスタを作ってもらったのだろう。
パスタがおいしかったから好きになったのであって、紹介された段階では好きになっていない。
つまり一目惚れではないので、この段階で好きなのは"彼女のツレ"ではなくて家庭的な味(ここではパスタ)だろう。


その次の
大貧民負けてマジ切れ】
【それ見て笑って楽しいねって】
【優しい笑顔にまた癒されてベタ惚れ】
という歌詞で、こいつはクズだと完全に確信した。


まず大貧民で負けてマジ切れしているあたり、自分の思い通りにならないと気が済まない自己中心的な人間性だろう。
しかし、それを見て笑っている"彼女のツレ"にベタ惚れしている。


つまり、カスみたいな自分にも優しくしてくれ、都合よく受け入れてくれる女性を求めているのだ。


"俺"は、家庭環境に難を抱えた人物であることが伺える。
愛情が足りていないが故に、家庭的な雰囲気に飢え、都合のいい愛を求める。


ここで視点を変えて、"彼女のツレ"が大貧民に負けてキレている"俺"を見て笑った理由を分析してみる。


精神医学用語に【ストックホルム症候群】というものがある。

誘拐事件や監禁事件などの被害者が、犯人と長い時間を共にすることにより、犯人に過度の連帯感や好意的な感情を抱く現象。ストックホルムシンドローム

"彼女のツレ"はこの状態だったのではと推測される。
ストックホルム症候群に陥った被害者は、犯罪を肯定しているわけでも、犯人に対して本当に好意を持っているわけでもないらしい。
犯人の行動や主張に共感することで、生き残る確率を上げているのだそうだ。


おそらく、大貧民をしていたメンツは俺・大親友・大親友の彼女・大親友の彼女のツレの4人だろう。
(並べたら強い呪文の順番みたいになったが)
ほぼ初対面の"俺"がトランプゲームで負けたくらいで烈火の如く怒り狂う様に恐怖した"彼女のツレ”は、
自分に被害が及ばないように防衛策として、"俺"に飾り立てた笑顔を向けたのだ。


そんなことを知る由もない"俺"は、"彼女のツレ"が向けた笑顔を好意と解釈し、
自分を受け入れてもらえたと勘違いしたのだろう。


このあと"俺"はスキップしたり、真面目な顔をして抱きしめたりと、幼児退行をしたかのような行動を取り、
どうやら"彼女のツレ"と付き合うことに成功したようだ。


恋は盲目であって、ピュアな頃の少年少女に戻ってしまうことを言いたいのかもしれないが、
家庭環境にコンプレックスを抱えた"俺"の行動だと思うと、歪な愛情表現に思えてしまう。


しかし問題はこの後のサビだ。
【初めて一途になれたよ】
ということは今までの女性に対しては一途ではなかったのだ。


"俺"が女性とどういう付き合い方をしてきたのかは情報がないが、大貧民で負けた程度でマジ切れする沸点の低さである。
付き合っている女性に落ち度があれば容赦なく不満をぶつけたり、別の女性を作ったりしていたことだろう。


何より、こういう幼稚な精神の持ち主は、お前が初めてだぜ的なセリフを今までの全員に言っている。


2番では、パチンコの景品で得た化粧品を持って、喧嘩した彼女に謝罪しに行くという
期待を裏切らない行動に出る"俺"であるが、とりあえず次回に続く。