公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

自称デリケートは無神経

新幹線や高速バスで座席を倒す際、後ろの人に一声かけるのがマナーだとされているが、あれの意味合いは
『倒してもいいですか?』
ではなく、
『倒すけどいいよね?』
が近いと思っている。


実際、一声かけられて断ったことはないし、断られた人を見たこともない。


ぼくは自分のスペースが狭くなるため、座席を倒してほしくないタイプだ。


じゃあ自分も倒せばいいじゃないかとなるが、ぼくがリクライニングすることで後ろの人のスペースを侵食することになる。


ぼくに倒された後ろの人はスペースを確保するため自席を倒し、最終的に最後尾の人は座席を倒すことができないため、割を喰うのは一番後ろの人である。
(倒せないことはないが、新幹線だと後ろのスペースに荷物があったり、高速バスだと最後尾の座席は倒れなかったりする)


ぼくは座席がそのままでも快適に過ごせるので、倒す必要性を感じない。


ただ、それを人に強制はできないので、倒していいかと聞かれると本当は嫌だけど了承している。


たまに無言で倒してくる輩がいるが、非常識が人間の形を成したようなどうしようもないやつだ。


ただまあ最近はそういうやつの気持ちも分かるようになっていて、前述したように席を倒す声かけとは承認を得るためではなく意思表示なので、どのみち席は倒されるのだから言うのは無駄だと思っているのかもしれない。


もしくは恥ずかしがりやで人に声をかけるのが苦手とか、ぼくも各々の事情が考慮できるくらい大人にはなってきている。


ところが未だに許容できないのが、なし崩しに倒してくるパターンである。


新幹線では遭遇したことがないため、ここからは高速バスオンリーの話とさせてもらう。


バスの始発駅からではなく途中から乗る場合、前の座席に既に人がいる事がある。


後ろにおもねるものがないためワイルドに10度くらい倒している人もいるが、大体は後ろに人が来たことに気が付くと角度を緩やかにしてくれる。


意外とタチが悪いのが、ちょっとだけ5度くらい倒しているやつだ。


このパターンの人間は全ての乗車駅を通過し、車内がおくつろぎモードになったあと、本性を現す。


既にちょっとリクライニングしているところに急に無言で角度を追加してきて、あたかも自分のシートはこの具合がデフォルトだと言わんばかりの主張をしてくる。


それならまだ最初から全力で倒してくれていたほうが文句の言いようもあるが、こちらが座ってからしばらく経ったあとにしれっと追加するあたりが変に気を遣っているのか、こちらの善意に期待しているのか知らないが、ナイフでやんわりと刺された気分だ。


思うに、既に少々倒しているから今さら追加でリクライニングしたところで同じことだよねの精神なのだろう。


それはお前が勝手に思っているだけであって、こちらは断りを入れられたわけではないし、最初から倒していようといなかろうとマナーは守れと言いたくなる。


大体、車内がくつろぎモードになったときはこちらも前の座席の背面についているテーブルを展開していることが多いため、そこでリクライニングされるとテーブルに乗せている飲食物が落ちそうになることもあるので危険なのだ。


こないだもしれっと角度を追加してくるパターンのおばさんに遭遇し、何を思ったかちょっとした病院のベッドくらいのリクライニングをしてきたため、さすがに角度を緩やかにしてくれと文句を言った。


角度がついていない状態から倒してくる人は、こちらに断りを入れるか無言で倒すかのどちらだが、ちょっとだけ倒した状態から角度を追加してくる人に断りを入れられた試しがない。


なんかもう様子と相手を見ながら座席を倒すかどうか決めている感じがとても気持ちが悪く、ぼくがあからさまなチンピラだったら倒さないどころか角度を戻すんだろうなと思っている。