高校生の頃、昼食は母の作ってくれた弁当を持参していた。
テレビで芸人さんが母親の料理がまずかったという話をして笑いを取っているが、うちの母の料理に不満はなく、弁当も毎日手を変え品を変え、見た目も味も満足のいくものを作ってくれていた。
当時のぼくはゲームが大好きでしょっちゅう夜更かしをしていたため、朝はギリギリまで寝ていた。
しかも高校が遠かったため早めに起きる必要があり、朝食はバナナを2本だけ食べて出かけるという不健康極まりない生活を送っていた。
そのため昼食の時間になってもいまいち食欲がわかず、弁当も半分以上残していた。
この非常に罰当たりな行為の巻き添えを喰らったのが、当時中学生だった妹である。
ぼくとしても残した弁当を捨てるのは不本意だったため、先に帰宅していた妹に食べるかと聞いてみた。
妹も当時は育ち盛りだったため弁当を喜んで平らげ、残す言い訳ができたぼくはその日から彼女に弁当の残りを与え続けた。
結果として妹の身体はその日の消費カロリー以上のエネルギーを吸収することになり、見る見るうちに肥大化していった。
妹はその後、デブのまま高校生活3年間を終えたため、あの体型のせいで実らなかった恋や逃した縁もあったことだろう。
今でこそやつはダイエットに成功しスリムになったが、当時のことを思い出すと餌付けして太らせた妹とせっかく作ってくれた弁当を残してしまった母に申し訳ない。
数年後、ぼくも不摂生がたたって10キロ以上太ることになり、今にして思えばあれは理想の青春を奪われた妹の呪いだったのではと思っている。
どうにかして体重を10キロ落とし、リバウンドもなくダイエットには成功したのだが、その話はまた次回。