公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

死して組み立てるものなし

公共の場で気遣いができないやつが腹立つ。


狭い通路で歩きスマホをして渋滞を起こしたり、これだけ注意喚起しているのに今だにキャリーケースを体の後ろで引いていたりするやつのことだ。


これから寒くなってくると、マスクもせずに咳やくしゃみをするアホが増えてくることだろう。


こういうやつは基本的に仕事ができなかったり、デリカシーがなかったりするので、迷惑をかけているという自覚がないのでタチが悪い。


うちの隣人がまさにそのタイプだ。




現在の住まいには長いこと住んでいるが、住み始めてから数年後に隣人が引っ越してきた。


以来、隣人もずっと住み続けており、引っ越した形跡はない。


ちなみに、なぜ隣人が転居してないか確信できているかというと、女性なのだが加藤茶みたいなくしゃみをし、それがぼくの部屋にまで聞こえてくるため、定期的に聞こえてくるくしゃみの音で隣人の存在感を確認しているのだ。


くしゃみなら生理現象だし頻繁にあることでもないので仕方ないが、隣人はとにかく生活音がやかましい。


かかとで歩いているんじゃないかと思うくらい足音がうるさく、ドアも勢いよく閉めすぎて振動がこちらまで伝わってくる。


あんな歩き方して疲れないんだろうかと思うくらい力強く大地を踏み締め、あたし流を主張してくる。


ぼくもうるさいことがあるかもしれないので、百歩譲って生活音も我慢してやるとして、特に気になるのが何か大きなものを引きずっていると思われる謎の音だ。


隣からは夜になると、大きなものを引きずっているようなズズッという音が聞こえてくる。


時間にすると数秒間だが、断続的に何度も聞こえてくることもあり、基本的には毎日音を立てている。


何か必要なものを収納から取り出していると思うのだが、そんなに毎日やるくらいなら最初から出しとけよと思う。


当初は夜といっても比較的常識的な時間に聞こえていたが、0時を回っても何度も音が出ている時期があり、さすがに我慢がならなくなったので管理会社を通じて苦情を言った。


本当は直接言ってもよかったが、相手が女性なこともありややこしいことになってもあれだったので、管理会社から苦情を伝えたという事実を残しておけば、後々揉め事になっても有利かもしれないと思ったのだ。


隣人は引っ越してきた当初はくしゃみこそ加藤茶だったものの、生活音は全くうるさくなく、ましてや引きずり音も聞こえてはこなかった。


大体、ここ2年くらいからワイルドな生活音を立てるようになり、辟易していたところに今回の苦情に至る出来事となった。


後日管理会社から電話があり、隣人からは「机を組み立てていた」と説明されたとのことだった。


謎の音は半年以上も聞こえており、その半年間、隣人は毎日机を組み立てていたのだろうか?


そしてぼくが苦情を言った時期は、たまたま盛り上がってしまって作業が深夜にまで及んだのだろうか?


いつもの騒音と机を組み立てていた音は別物だと考えたほうがよさそうなので、結局いつもの音が何なのかは謎のままである。


この話は昨年の秋くらいに起こったことなのだが、一年経った現在も、深夜ではなくなったが相変わらず謎の引きずり音は聞こえている。


そして、音の聞こえる時間帯も段々と遅くなってきたように感じている。


もしかすると隣人は机を組み立てる途中で死んでしまい、永遠に机を完成させられない未練で現世に留まっているのではないだろうか。


というか、あれだけうるさくて下の階の人は何も言わないのだろうか。


隣のぼくですらあれだけ音が響くのに、真下なんかはもっとやかましいと思うのだけども。


ぼくとしては、隣人に恋人ができるなり結婚するなりしたときに、あれだけがさつだと生活習慣の違いから旦那と喧嘩したり、姑にいびられたりしかねないので、啓発のつもりであなたうるさいですよと(管理会社経由で)言っているのだけど、全く響かないようだ。


これで下の階からも苦情があれば、自分の生活音がうるさいことに気付いてくれそうなものだけど、もしかしたら苦言を呈しているのはあのアパートでぼくだけかもしれない。


となると今度は頭がおかしいのはこちらだと認識されかねないが、これは誇張でも何でもなく隣は本当にやかましいし、一方のぼくはデリカシーの塊のようなグットルッキングガイなので、文句を言われるようなことは(たぶん)ない。


でももしかしたらぼくも周りに迷惑をかけている自覚がないタイプの人種かもしれないので、そういう状態になったら殺してほしいと思うのだ。