公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

プリミティブ

元々はそこそこ前向きな性格だったが、いろいろあって今はものすごくネガティブになってしまった。


沖縄料理屋とかが苦手で、店員もお客さんもみんなトモダチみたいなインティライミ的ノリにいまいちはまらない。


自信を持っていることならともかく、普段褒められないようなポイントを褒められるとまずは疑ってかかる癖がついてしまった。




昔、友達とあるイベントに行ったとき(婚活的なものではない)、二人組の女性と仲良くなった。


ちなみにぼくはネガティブ故にコミュニケーション力は皆無なため、仲良くなったのも友人のおかげだ。


二人とも美人だが体型は対照的で、ホームアローンに出てきた泥棒コンビのようだった。


で、意気投合した我らは飲みに行くことになったのだが、細いほう(Aちゃん)が途中で帰ってしまい、ふくよかなほう(Bちゃん)と3人で飲むことになった。


一緒にいた友人は狙っていたAちゃんが帰ってしまったことですっかりやる気をなくしてしまい、あわよくばBちゃんとぼくをチョメチョメさせようとにやにやしていた。


一方でBちゃんは酔っぱらうとスケベモードになるらしく、隣に座っていたぼくの手を取って自分の太ももに挟んだり、耳元で割と卑猥な言葉を囁いてきたりと、性を解放していた。


そんな性獣を尻目に、ぼくの愚息はどんどん軟化していった。


相手が酔っているとは言え、自分が女性から性的なアプローチをされていることがとにかく非現実的で、Bちゃんの一挙手一投足がフィクションに思えて仕方なかった。


若かりし頃のぼくならあらいいですねとなり、ピロートークホームアローンに実はトランプ大統領が出演していた話でもして後腐れなくお別れしていたかもしれないが、今の自分はBちゃんをタクシーに放り込んで友人と帰路につく選択肢しかなかった。





リリーフランキーさんの言葉を借りると、自分は『性的に未熟な人間』なのだなあと思った。


女性をからかったり、嫌がることを言ったりするのは平気だが、自分の気持ちを表明することに対して斜に構えてしまい、恥ずかしかったり格好つけてしまったりするのだ。


かと言って心優しいわけではなく、デリカシーはそんなにないので、まあ端的に言えば男らしくないのだった。