公共の秘密基地

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結婚相談所を退会した話

実は結婚相談所に登録しており、先日退会したのでその話をしようかと思う。
本当はGoogleの口コミにでも感謝の気持ちを綴りたいのだが、口コミのアカウント名をうまいことする方法が分からないのでここに書くことでお礼に代えさせてもらいたい。
釣りみたいになるのは嫌なので最初に言っておくと、成婚して退会したわけではない。

前提として

世の中に蔓延っている個人の婚活ブログやSNSは、婚活の参考として見る必要はないと感じている。
なぜならその婚活体験記はその当人にのみ適用される事例でなので再現性が低いからだ。
個人の婚活体験記の都合のいいところだけを抽出し、「○○さんはこれで成功したと言っていた」と無理難題をふっかけてくる人がいるという。
見るべきなのは"結婚相談所"が運営しているブログやSNSであって、個人のものなんか正直何の役にも立たない。(相談所にも良し悪しがあるので一概には言えないが)
結婚相談所はいくつもの婚活事例を見てきているので、統計的にも確実性の高いアドバイスをしてくれる。
それは時に自分の意にそぐわない助言かもしれないが、ごく一部の"みんな"の婚活体験談の寄せ集めで理論武装するよりよっぽど役に立つ。
ぼくが相談所を退会した理由は後述するが、これについても自分にのみあてはまることなので、こんなやつもいるんだなくらいで受け止めたらいい。
ちなみに今までずっと活動していたわけではなく、長期の休会期間を経て退会に至ったので最近は婚活はしていない。

相談所のシステム

まず結婚相談所のシステムを簡単に説明しておく。
会社によって多少の違いはあるかもしれないので、ぼくが登録していたところの例になる。
流れとしては「①お見合い → ②仮交際 → ③真剣交際 → ④成婚退会」となる。

①お見合い
お見合いをしたい人に申し込む。
相手が申し込みを受諾したらお見合い成立。
基本的には申し込んだ方が相手の最寄り駅まで出向く。
お見合いセッティング料金が都度必要なところもあるらしい。(うちはなかった)

②仮交際
連絡先を交換してデートをする。
あくまでも"仮"の交際なので、身体的接触はNG
また、仮交際の相手は何人いてもいいし、お見合いもしてもよい。

③真剣交際
相談所によって異なるが、概ね1~3ヶ月で相手と真剣交際に進むかどうか決める。
この段階になると新しいお見合いは組めなくなるし、真剣交際の相手以外とはデートできない。
そのため、真剣交際になると月会費が安くなるところもある。

④成婚退会
プロポーズを経てめでたく退会。
ちなみにこの段階までに相手とおセックスすると問答無用で成婚の意思ありとみなされて退会となる。
成婚退会費用が必要であるが、入会費用が高くて成婚退会費用が安いところと、その逆がある。

退会した理由

で、肝心の退会理由だけれど「満足してしまったから」である。
成婚して退会したわけではなく、自分の中で満たされてしまったので退会したのだ。
婚活当時、ぼくは30代前半の契約社員で年収も低かったのだが、それでもお見合いは組んでもらえたし仮交際にも進めた。
お見合いも仮交際も相手からすれば「まあ会ってみてもいいかな」くらいの気持ちなので、めっちゃ自分のことが好きで受諾してくれたわけではない。
相談所によっては、お見合いも仮交際も断るなくらいの勢いでどんどん会ってみろという方針もあると聞くので、会ってもらえたからと言って勝利確定ではないのだ。
とはいえ、安定した仕事をしておらず、玉木宏みたいな顔でもない自分にも、貴重な時間を使って会ってみてもいいかと思ってくれる人がいるのはありがたいことである。
加えて、お見合い・仮交際のお相手ともに素敵な人ばかりで驚いたのもよく覚えている。
お見合い写真ってみんな盛り盛りで撮影してると思うんだけど、どの人も写真より実物のほうが魅力的だった。
婚活は大変だったが、必死に思い出してみても嫌な思い出はひとつもない。
そもそも、ぼくが相談所に登録した理由は「自分に自信がなかったから」「殻を破りたかったから」である。
結婚したいというのは第一ではなかったし、それは入会面談時にきちんと伝えている。
今思えば、相手ありきで自己肯定感を高めるなんて不確かなものにすがるのはみっともないけど、当時はそれほどに切羽詰まっていたのだ。
世間の婚活体験記には感謝の気持ちをどこかに忘れてきた人間たちによる、相手に対する呪詛の言葉が満ち満ちている。
少なくともぼくに会ってくれた人にはロクでもない相手は本当に一人たりともいなかった。
とある仲人さんのブログには「会えた人があなたにふさわしい人」とあったが、その言葉を信用するのならあんな素敵な人たちに会えた自分は相当幸せではないかと思ったのだ。
もちろん、真剣交際に進んだわけでも、ましてや成婚したわけでもないので調子に乗るのは早いかもしれない。
今婚活をしたとして、当時とは同じ結果にならないだろうし、現実としてひとりなのは変わらないわけだ。
だけど自分の中では納得して満足してしまったのでしょうがない。
この結論に至ったとて誰かに迷惑をかけているわけでもないし、自己完結して楽しく幸せに生きているのだから誰かにとやかく言われる筋合いはない。

結婚相談所には登録したほうがいいのか

結婚したいのなら男女ともにしたほうがいい。
近年ではマッチングアプリでの出会いも増えているらしいが、あれは一部の恋愛強者向けのものであって、恋愛には向いているかもしれないが結婚相手を探すのには不向きだ。(やったことないので知らんけど)
アプリには「いつか」結婚したい人はいるかもしれないが、「今」結婚したい人は相談所のほうが多いだろう。
もちろん相談所もピンキリなのでいいところに当たるのは難しいかもしれないが、そこは前述した相談所運営のブログなりSNSなりを参考にすればいい。
当然ながらお金はかかるので、個人的には入会金が安くて成婚退会料が高いところを選べば初期費用を抑えられると思う。

結婚するということ

友人から、亡くなった志村けんさんを例に出して「お前は結婚したほうがいい」と言われたことがある。
志村さんみたいに取り巻きがいっぱいいれば結婚する必要はないだろうけど、お前はそうではないのだから相手を見つけるべきだと。
そこでぼくは「取り巻きはおらんが友達はいる」と反論したのだが、友人曰く友達ではダメなのだそうだ。
年を取れば身体が思うように動かなくなったり、家族のことで忙しくなったりすると会うのが難しくなる。
友達は同世代が多いのでそれらの変化が同時期に起こりがちだが、社会に出てからだと若い友人が作りにくい。
その点、取り巻きだと若いやつもいるから暇なときにフットワーク軽く飲みにいけるため、友人と取り巻きはそこが違うのだと。
この意見はなるほどなと思った。
また、退会の意思を伝えたときに担当の人と「将来何が起こるか分からん」という話になった。
今は結婚したくなくてもいつか一人で寂しいと思う時がくるかもしれないと。
その際に「今は寂しくなくても将来寂しく"なるかもしれない"という理由で結婚相手を探していいものか」と素直な疑問をぶつけたのだが、「それでいい。みんなそれで婚活してる。」と返ってきた。
みんなそんな生命保険みたいな、転ばぬ先の杖みたいな理由で婚活してんだなあと思ってピンとこなかったので、やはり結婚に親近感が持てないのだと思う。

今後どうやって生きていくか

結婚したいわけではないが恋人はほしいものの、そのために何かしてるわけでもないのでまあこのままなのかなあと思う。
世の中には「先のことを考えても仕方ない」という意見と「将来に備えないといけない」という意見が併存している。
どちらもその通りなので要はバランスなのだが、ぼくにとっては結婚こそ「先のこと」なのだ。
ぼくの登録していた結婚相談所は皆さん親切で、優しい言葉ばかりではなく厳しいことも言って尻を叩いてもらえたので本当に感謝しきりだ。
成婚という形でお礼ができなかったのは残念だが、相談所での活動を経て気持ちは前向きになったし、仕事や人間関係にも恵まれて人生も上向いている。
行動していなければ今のような心持ちにはなっていなかったので、結婚相談所の門を叩いたのは間違いではなかったと確信している。
退会せずに婚活していればよかったと後々ならないように、あのときの決断が正しかったと思えるように豊かな人生を歩むしかない。
辞めることを決めたのが一粒万倍日だったので、蒔いた種がなんかの形で実ってくれたらいいなあと思う。