公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

普通アレルギー

ハッキリ言います。ボクは今まで個性的な女子というものにお目にかかったことがありません。
それは女子に限ったことではなく、個性的な人自体、ボクは知りません。
ビラビラにピアスを開けようと、乳輪に刺青を入れようと、そこにある精神は平凡なのです。

リリー・フランキーさんが著書でこんなことを言っている。
みんな、「普通」と言われたら死ぬかのように個性的な自分を演出している。
しかし、結局はみんなと同じ枠組みの中での「個性」であって、誰かの二番煎じ三番煎じだったりするのだ。
モテたい・他人より目立ちたい・コンプレックスを隠したいなど、根底にある動機が平凡であればどんな突飛な行動をしたって真に個性的とは言えないのだ。


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アラサーのことを頑なに「女子」と言いたい系雑誌でお馴染み【CLASSY】という女性ファッション誌がある。
この雑誌の名物コーナーになっているのが、【着回しDiary】という企画だ。
一ヶ月のコーディネートを毎日ストーリー仕立てで紹介するコーナーで、凝った設定が話題になっているらしい。


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togetter.com


このコーナーについては以前にもブログで触れたことがある。

mezashiquick.hatenablog.jp

そのときは、中身が入れ替わってしまった男女の話だった。

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7月は宇宙が身近になった時代に、宇宙旅行へ行くことになった女性の話を描いている。
旅行なのでアイテムをミニマムにし、宇宙なので動きやすいメンズライクな服装を提案している。
※見出しは上の記事と同じだけれど中身は異なります。

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そして、10月は魔女っ子がテーマなのだそうだ。
パリシックなコーディネートを提案していくらしく、近年ブームになっているフレンチカジュアルの流れに乗ってのことだろう。
主役は御年150歳の新米魔女・チエミで、祖母から厳しく育てられた反動で人間界に興味があるのだとか。

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チエミのキャラクター解説に「人間界での魔法は御法度だけど…。」とあるので、誰か(おそらく写真に写っている男)のために魔法を使用してしまうのだろう。
そして魔法界にいられなくなり人間界で暮らすことになるか、彼と二度と会わないことを条件にお咎めなしとなるかそんなとこだろう。


今までリンクを貼った着回しDiaryを読んでもらうと分かるが、確かに設定は凝っているものの、必ず"男性との恋愛要素"が存在する。
彼と結ばれたり、男性とは縁がなかったものの恋愛を通じて自分の進むべき道を見出したり、女同士の友情を育んだりといった展開だ。
どれだけ設定を捻ろうと、"男性""恋愛"が重要な事項となった時点でありがちで陳腐なものに感じてしまう。
掲載誌が女性ファッション誌なだけになおさらだ。
アラサー女性にとって恋愛とオシャレは大切なことかもしれないが、自分を顧みたり成長したりするきっかけは恋愛だけではないだろう。
人との関わりの中で気が付くことって本当にたくさんあるけれど、それは別に異性に限定する必要はなく、同性の友人や同僚だって問題ないはずだ。
チンコを物差しにしないと自分のこともロクに測れないのかとちょっと軽蔑してしまう。
世の女性がそんな人ばかりでないのは承知しているが、人はセックスのみに生きるに非ずである。


結局、"モテ"や"異性受け"が根底にある以上、個性的でも独特でもない展開であることは間違いない。
それらの価値観はごくありふれた、リリーさんの言葉を借りるなら「平凡な精神」だからだ。
平凡大いに結構だし、そうしないと雑誌は売れないだろう。
それに、ファッション誌の着回し企画としては十分に目立っていると思う。
モテや異性受けを馬鹿にしているわけではないが、「独特な展開」を標榜するのなら"お約束"は別に必要ないと思う。
今のままでは独特なのは設定だけであって、展開自体はよくあるものである。


チエミは150歳で新米とのことだが、魔女の平均寿命とはどれほどのものなのだろう。
また、初回では出会った男性のことを「カッコいい」と評して発情していることから、美醜の感覚は人間界と似通っていると思われる。
今後どういった展開をするのか期待しているが、個人的には魔女界の設定を掘り下げてほしいところだ。


追記:
この記事は9/30から下書きを始めたものだが、10/2の着回しDiaryを見ると、新米魔女チエミは早速自分のために魔法を使っていた。
チエミ曰く「彼と同じ課で働けるように魔法をかけた」とのことである。
意中の彼はチエミが会社にいることに驚いていたので、彼は対象外として魔法を行使したのだろう。
つまり、あたかも彼女が元から会社に在籍していたかのように、特定の人間を除外してたった1日で記憶を改ざんしたことになる。
魔法って手を触れずに離れたものを動かすとか、アッコちゃんの如く自分の姿を変えるようなメルヘンチックなものかと思っていたけど、他人の脳みその中身までいじれるとは何とも恐ろしい。
自分の力を自覚していない頭お花畑であれば、おばあちゃんが厳しく育てるのも納得だ。(教育の成果はなかったようだが)
「大いなる力には、大いなる責任が伴う」とスパイダーマンのベンおじさんが言っていたので、チエミは人間界で魔法を使用したツケを払うときがくるだろう。
彼に魔法をかけて自分のことを忘れさせるけど、チエミの記憶がなくなった彼とまた別の形で再会する結末がまずひとつ。

もうひとつは、

「チエミ!やっと見つけた!」

「え!?どうして魔法が効かなかったの?」

「お前みたいなおてんば娘、そう簡単に忘れられるかっての!」

「…恋の魔法って、解けないんだね」

みたいな結末が落としどころだろうか。