公共の秘密基地

好きなものも嫌いなものもたくさんある

ギャップも何もない人たち

「何を言うか」より「誰が言うか」が重要なことがある。
若い頃に凶悪な犯罪に手を染め、今は更生してずっと真面目に暮らしている人が「人に迷惑をかけてはいけない」と言ったとする。
「お前に言われたくない」と感じる人もいれば、「体験しただけに説得力がある」と思う人もいるだろう。
「時間は有限だから貴重」という当たり前のことでも、そこらのアイドルが言えばファンはその通りだと持ち上げ、【アイドル××の発言にファン驚愕!?】のようなクソみたいな見出しを付けてネットニュースになるだろう。
人は自分の知りたいことしか知らないし、聞きたいことしか聞かないのだ。


皆さんは本を読むだろうか。
毎週月曜日にジャンプを読むくらいという人、月に小説を何冊も読んでいる人、通勤時間に自己啓発本や資格取得のための書籍を読んでいる人など様々だろう。
ぼくは長いこと三島由紀夫好きを主張してきたが、どうも人や図書館で借りて読んだケースが多く、家の本棚に意外と入っていないことに気が付いたので、今さら【仮面の告白】とかを読んでいる。
ところで【読書】の定義とは何だろうか。

[名](スル)《古くは「とくしょ」》本を読むこと。「日がな一日読書する」「読書家」

とりあえず本を読めばいいらしいので、雑誌や漫画も読書扱いになるのだろう。
電子データも書物とするなら、電子書籍での本読みも読書に含まれる。
また、wikipediaによると、昔は識字率も低かったことから、読書とは富裕層やインテリ層向けの嗜みだったそうだ。
今でこそ大衆の娯楽として定着した読書であるけど、本を読むことをやけに高尚な趣味と捉えたがる人はそうした昔の名残だろうか。


ananweb.jp

anan読者約200人に行った調査によると、読書を習慣化しているのは57%だったそうだ。
記事から引用した、読んでいる本の内訳は以下の通りだ。

雑誌・週刊誌 34%
漫画・コミック 34%
小説・エッセイ 22%
howto本 3%

なんかこう、どうもこの結果を「読書習慣がある」とするのは釈然としない。
ぼくの中で「ananの定期購読者=アホ」というイメージがあるからだと思う。
アホの自称する"読書習慣"ほど当てにならないものはない。
さらに、記事の煽り文が余計に間抜けさを掻き立てている。

意識高く読書を習慣化している57%のanan総研メンバーに、おすすめの本や読書習慣の作り方を教えてもらいました。

「意識高く読書を習慣化」って、週刊誌を毎週読んでいる人が高い意識を持って読書に取り組んでいると言えるだろうか。
どうせananしか読んでないだろうに。
アンケートを取った読者約200人のうち読書習慣があるのが57%なので、約114人が定期的に本を読んでいることになる。
そのうち雑誌・週刊誌、漫画・コミックを読む割合がそれぞれ34%で合計68%だ。
つまり、小説やエッセイなどを読む人数は40人に届かないくらいになる。
これを多いと思うか少ないと思うかはさておき、ぼくの中では「ananだからなあ」の一言で片が付く。


定義としては漫画や週刊誌も読書に含むのだろうが、活字メインの書物でないと読書とは認めたくない人もいるだろう。
でも、ケンコバも言っていたが、漫画から学ぶことって意外とあったりする。

  • 密閉空間に小麦粉をまき散らして火を点けると粉塵爆発が起こる
  • 週刊誌の作り方は"強きをけなし、弱きをわらう"
  • 拳銃は右手で押し出すように持ち、左手でトリガーを引くというより絞り込む
  • 竹は絶縁体

ほとんどが皆川亮二マンガの知識になってしまったけど、こうして今でも覚えている。
ただし、使いどころのない知識ではあるので、それを実生活に役立てるということはないだろう。
せいぜい、同じ漫画を読んだ人と話が盛り上がるくらいだ。


個人的には、楽しければ読書でいいだろうと思う。
趣味であり娯楽なんだから、これはOKあれはNGなんて堅苦しいことを考えずに読みたいものを読めばいい。
更に言うと、読むことによって学びがあるかが肝心だと思う。
新しい価値観・具体的な知識や知恵・他人の気持ちなどなど。
いかに学んだことをアウトプットして、日々の生活に活かせるかが大切だ。
粉塵爆発の起こし方や拳銃の持ち方は、普通に暮らしていたら必要のない知識だけど、その学びが必要な人もいる。
人の気持ちを推し量って円滑な人間関係を築いたり、コーヒーの美味しい淹れ方を知るのが必要のない人もいる。
何が本人にとって必要な知識であり、学びとなるかはその人の育った環境や暮らしている社会によって違うのだ。
ただ、「読書習慣があります」と自称している人が雑誌や漫画しか読んでないと言うのは、正直ちょっとガッカリする。


今回の記事を書いたきっかけとしては、ぼくの中でanan読者に抱くイメージがマイナスなのが大きい。
きっとananの人は本読んでないだろうなあと思っていたが、アンケート結果を見ると思ったより読んでいたので驚いた。
しかし、読んでいる本の内訳を見て「やっぱりな」と期待を裏切らない姿に安堵した。
ananはアホみたいな特集記事を組んでないで、イメージ脱却のために紙面改革を進めたほうがいいと思う。
上に貼ったアンケート結果が【週刊 枯山水】とかの読者に聞いたものだったら、印象は変わっていたかもしれない。