公共の秘密基地

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青のフラッグ最終回から感じたこと

4月8日(水)に、週刊少年ジャンプweb版であるジャンププラスで連載中の、【青のフラッグ】という漫画が最終回を迎えた。
4人の高校生男女が織りなす純愛青春ストーリーで、作者は【クロス・マネジ】【バディストライク】のKAITO先生だ。
前2作はジャンプ本誌に掲載されていたが、3作目である青のフラッグからはジャンププラスで連載していた。
クロス・マネジは面白いという声が割とあるが、バディストライクに関してはジャンプで野球漫画は花開かないというジンクスから抜け出せなかった作品であり、最終回のぶん投げはネタとして語り継がれている。
3作すべてで主役は高校生であり、この作者はそのへんの年代の感情の機微を表現するのが本当にうまい。


ここからは作品のネタバレを含むので、未読の人は注意してもらいたい。
最終回の内容は非常に物議を醸し、作品のコメント欄やSNSネット掲示板は大荒れになった。
詳しい内容には触れないが、ぼくも読みながら「え?」と声が出てしまった。
しかし、ぼくが問題にしたいのは結末ではなく、最終回のとある描写だ。


最終回で、主人公は高校時代に付き合っていた彼女の結婚式に招待される。
結局は出席しないのだが、それも別の友人の結婚式と日程が被っていたから行けなかったのであり、主人公としては出席するつもりだったようだ。
漫画やドラマにおいて、男女問わず昔の恋人の結婚式に出席する描写は少なくないように思う。
現実でもごくたまに聞く話で、ぼくが今まで出席した友人の結婚式でも、新婦と出席者の男性が大学時代に付き合っていたという例もあった。
昔の恋人の結婚式に行く人間と、昔の恋人を結婚式に招待する人間の心理が理解できない。
ぼくは男性なので、男目線から言わせてもらうと、元カノの結婚式に嬉々として参加するやつは全員変態だと思う。


男性諸君は理解してもらえると思うが、男というものは別れた彼女は何だかんだ言ってもう一回くらいはやらせてくれると思っている。
自分のことを完璧に忘れたわけではなく、どこかしらに気持ちは残ってんじゃないかと期待しがちだ。
その点、女性は意外にドライで、昨日まで喜んで尻の穴を舐めていた男と別れて、次の日には別の男の尻穴を舐めるような非人道的行為を平気で行う。
『男性は名前を付けて保存、女性は上書き保存』とはよく言ったもので、一度別れてしまうと女性は前の彼氏に持っていた情を三角コーナーに簡単にポイできるのだ。
男性が元カノに対して抱いている淡い期待と性欲は、元カノが結婚してからも変わることはなく、ふとしたきっかけで再会したらすったもんだあってやらせてくれるんじゃないかと思っている。
それはチャペルで誓いのキスを見せられようと、新郎新婦思い出の映像を見せられようと、笑顔のケーキ乳頭入刀を見せられようと、変わらない気持ちだ。


元カノの結婚式に参加し、新郎と寄り添い幸せそうな新婦を見た男性は、確実に興奮している。
自分に気持ちが残っている(と思い込んでいる)元カノが、他の男性とセックスする姿を見て、寝取られにも似た感情を抱いているのだ。
そして、元カノと毎夜毎夜繰り広げていためくるめくプレイの数々を思い出し、勃起しているに違いない。
何だったら、生産者が顔写真付きで載っている野菜の如く、『私が夜のテクニックを仕込みました』くらいのことは思っている。
心の底から元カノを祝っているやつなどいるわけもなく、性的に興奮するためと、その後の二次会で『あいつが幸せそうでよかったよ』と自嘲気味で言いたいだけなのだ。


ぼくは男女の友情は存在すると思っているが、いくら後腐れなく別れようと、以前付き合っていた男女に肉体関係の介在しない純粋な友情など成立しない。
確実に節目節目で一発やっているか、どちらかが(男の場合が多いが)性欲を我慢して関係を続けているに過ぎない。
前者の場合はエロいが、後者の場合は表向きは仲良しを装わなければいけないので、悲壮感と欺瞞の塊だ。
元カノの結婚式に参加する男は、思い通りにならない性欲と、偽りの友情の板挟みになり、しかしそこに快楽を見出している性的倒錯者なのだ。


これから結婚式の予定があり、招待客を選定中の女性がいたら、元カレを招待するのはやめたほうがいい。
というか、元カレを平気で結婚式に招待できる女性もどこか頭がおかしい。
幸せな自分を見せつけてマウントを取りたいのか、元カレが自分に性欲を残しているのを見て興奮しているのか、未熟なぼくには分析ができない。
自分が尻の穴まで愛した男性が、友人席に座っているのを見て何を思うのだろうか。
ぜひそこのところを聞かせてほしい。